過度な不倫叩きは必要でしょうか?

 ちょうど一年前の2023年1月、岸田首相が「('23年を)異次元の(のちに「次元の異なる〜」に言い換え)」少子化対策に挑戦する年にしたい」と宣言しました。これは'22年、日本の国内出生数(速報値)が前年比5.1パーセント減の79万9728人となり、統計を取り始めた1989年以来、初めて80万人を割り込んだことによるものだと言われています。

 結婚した夫婦が生涯で産む子供の数は約2人と過去50年変わっていないのに、なぜ子供の数が減っていっているのでしょうか。理由は、若者が結婚しなくなったからだと言われています。つまり、少子化対策は若者が結婚するように環境を整えることが必要だということです。

 それでは、なぜ若者は結婚しないのか。社会学的には2つの理由が挙げられています。①バブル崩壊と経済不況、②女性の社会進出、です。③見合い結婚と恋愛結婚の逆転を挙げる場合もあります。

 90年後半に男女雇用機会均等法が改正され、男女同一賃金などの見直しがされ、女性が結婚の先送りをすることになったとも言われます。また、近年の調査でも分かったことですが、女性は年収200万円台であろうが500万円以上であろうが、自身の収入未満の男性とは全くといって結婚していないのです。女性が社会進出をして、男女の給与格差がなくなると、当然「自分より高級取りの男性」は減ります。

 しかも、それに加えて、男性の約半数は女性に「経済力」を。女性の9割以上が男性に「家事、育児の能力や姿勢を求めていること」が明らかになっています。1980年代後半のバブル全盛期には「三高」と言って「高学歴」「高収入」「高身長」が女性から求められましたが、今の男性はそれに加えて「家事、育児の能力や姿勢」まで求められているのです。

 話は戻りますが、過度な不倫叩きは結婚したら恋愛はしてはいけないもの=恋愛は面倒なものという印象を若者に与えているように感じます。誰だって煩わしいことはしたくないです。それに、当事者のことは当事者にしか分からないものです。当事者の話を聴くことなく、断片的な情報をみて識者が色々コメントを言うのは、少子化対策としてもどうかと思う今日この頃。

参考文献:恋愛結婚の終焉/牛窪恵