このような率直な質問をよく受けます。
我が子に障害があるのか。
不安でいっぱいで、聞きたいような、聞きたくないような。
でも、白か黒か、知りたい。
ものすごい覚悟の上での一言なのだと思います。
もちろん私は医者ではないので診断をすることはできないのですが、
そんな時に私が代わりにしているのが、オレンジジュースのお話です。
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ここにオレンジジュースが入っているコップがあるとします。
反対側には水が入ったコップがあるとします。
2つのコップの間には、オレンジジュースに少しずつ水を足していった飲み物がいくつもあると考えてください。
オレンジジュースの中の氷が溶けた程度のちょっと薄いもの。
オレンジの味がだいぶ薄くなったもの。
オレンジ風味?のうすーいもの。
もはやオレンジ味かわからないけど何かの味がするもの。
オレンジジュース=発達障害
水=健常
と考えると、どこまでがオレンジジュースと言えるでしょう?
どこからが水だと思いますか?
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このように、発達障害という障害があるのかないのか、白か黒かではなくて、
その特徴がない人、薄くある人、濃い人というようにグラデーションのように連続しているんです。
ある特性があまりに強すぎることによって
その人が置かれた環境で生活していくのに困難が大きすぎる場合には、
「発達障害」と診断して適切な理解やサポートを受けやすくしていこうということなんです。
本人に”障害”があるのではなくて、あるのは”特性”です。
特性があってもそれで困っていなければ診断をつける必要はありません。
発達障害と診断のつく人は100人に3~4人はいると言われています。
オレンジジュースだとわかる人が、です。
「私もオレンジ風味かも?」って人なんて、それはもうたーーーーっくさんいます。
それぞれ自分の特性で困らないように工夫して生きていければよいのです。
だから、我が子が発達障害なのかどうか、白か黒かに毎日気を揉んで、神経をすり減らすのはやめましょう。
大切なのは、その子にどんな特性があるのかを知ること。
そして、その特性で困らないように対処していくことです
ちなみにオレンジジュースのたとえ話は、
私がこの道に進むきっかけをくれた大学時代の恩師に教わりました。
当時からこういう考え方を与えてくれたことに感謝しています。
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※2024.3追記 発達障害の有病率について
・自閉スペクトラム症(ASD)→日本の5歳児で3.2%、
・注意欠如・多動症(ADHD)→子どもで5〜7%、成人で3%
・限局性学習症(SLD)→世界的には5〜15%
(日本では、知的障害がない小中学生の6%以上が学習面で著しい困難を示している)
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