公園とリクエストして、連れてこられたのは

工業団地の中にぽつんと立っている東屋でした。

だけど、周りには誰も人がいないし、2人きりで

話すにはちょうど良い場所でした。

少し間を開けて座ります。

 

望「あのさ、空気が気まずすぎてちゃんと話したいけど・・。

毎年2人で一緒に行ってた旅行、もうやめようって言われて悲しかった・・。」

篠「俺も、望に旅行のことまるなげされて面倒くさそうにされたのが嫌だった」

望「うん、面倒くさそうに見えたのなら、それで篠君を傷つけたならごめんなさい」

篠「うん。最近丸投げ多いなって思ってた」

望「篠君に任せると楽しかったから。だけど、篠君だって私を傷つけたよ?」

篠「うん」

望「それに対しては何もないの?」

篠「俺は別に何も悪いことしてない」

望「悪いことしてなくても、私は傷ついたし悲しい思いをしました。それに対して何か言えないの?」

篠「どうせ口先だけで謝ったところで気持ちもこもってなくて口先だけのくせにって思われるだけ」

望「謝ってもいないくせに勝手に私の反応を決めつけないで」

篠「・・・」

望「篠君って謝れないよね。人と人との関係って、お互いに潤滑油のような言葉で関係性を上手く回していくものだと思うんだけど...」

自分が意図して相手を傷つけたわけじゃなくても、

例えばたまたま振り上げた棒が相手を刺してしまって痛い思いをさせたならごめんなさい。

これ、幼稚園で習うことでしょう?

変なプライドで自分は悪くないを貫くだけの人とは

これ以上一緒にやっていけないと思いました。

終わりが見えそうでした。

 

しばしの。沈黙の後

篠「望にいやなおもいをさせてしまって、悪かったね」

絞り出すような声でポツリと言いました。

篠くんの高いプライドを打ち破って頑張って言ってくれたことが伝わって来ました。

望「うん、わかったよ。」

言ってくれて良かった。

こんなつまらない事で別れることにならなくてよかった。

 

篠くんが隣に座ってくれてキスしてくれました。

わたかまりが溶けていくようでした。

 

仲直りできて良かったです。

なんとか別れの危機を乗り越えた瞬間でした。