クソゲーである。
だが、妙に味のあるクソゲーである。
近所のブックオフに行ったら未だに105円でエアーズアドベンチャーが置かれていたので、注意喚起として一応書いておく。
スタッフは豪華だった。プロデューサーに「ゼビウス」の遠藤雅伸、ディレクター・シナリオに「巨人のドシン」の柴田賀盆、美術にZガンダムの永野護、音楽に同じくZガンダムの三枝成彰。発売前はゲーム誌で大々的に期待され、蓋を開けてみたら……で肩すかしが物凄かった作品である。
FCの「星をみるひと」のように鬼のような難易度を誇っているわけではない。その逆で、易しすぎるのだ。
発売当時の1996年は既に32ビット時代、プレイステーションとセガサターンがシェア争いをしていた。
据え置きゲーム機からカセットが駆逐され、CD-ROMに移行した時代である。
初動が多かったのと、内容の酷さと短さに売りが殺到、ワゴンセールの常連であった。
今でも中規模ブックオフに平然と並んでいるあたり、恐ろしいものがある。
篠山は380円で買ったが、それでもまだ高い。サウンドだけは辛うじて評価できるので、サントラと割り切れば105円は妥当な値段かもしれない。
まずストーリー。訳が分からない。これはニコニコ動画あたりでプレイ動画を見てもらいたい。「会話のキャッチボール」なんてものを、このゲームに求めてはいけない。どちらかというと、言葉のドッヂボールである。
きんぷれ!のこくぼしんじ氏も、初見で展開が全く意味不明だと仰せであった。
町の人がみんな知っている「秘密結社」というのも意味が分からないし、入団志願者に既存の団員を倒させるのも意味が分からない。団員に定員でもあるのか。
そして「試練」と称して連れて行かれる、一本道のダンジョン。私は生まれてこの方、一本道のダンジョンなど見たことがない。
感覚としては、バイオハザード(初代)でヘリポートゆきエレベーターに繋がる通路。あんな感じの通路が「ダンジョン」なのだ。そしてその奥に宝箱。シュールすぎる。
無駄に複雑化したRPGに対するアンチテーゼとも取れるほど、簡略化されたシステムである。
何の伏線もなく、空から「装備」が降ってくる。そして何の疑いもなくその装備を装着する主人公。
なお、戦闘時のパーティーはたった二人、主人公とヒロインだけである。
ドラクエⅡでももっと多かったぞ。
ポリゴンは非常に粗いのだが、会話時に出るキャラの顔だけはしっかりと永野タッチで描かれている。
逆に言うと、キャラ絵とサウンド、この二点はまだ「見られる」のだ。
それらににじみ出ている「才能の片鱗」が、エアーズアドベンチャーを「どこか憎めない」クソゲーにしている。
デスクリムゾン(デス様)のように、「褒められる場所が一つもない」作品ではないのだ。
そしてスタッフの布陣から来る、「どうしてこうなった」感。
これだけは、そんじょそこらのクソゲーには絶対に真似ができない。それこそが本作が唯一、PS/SS以降の作品から「クソゲー四天王」(篠山選)にランクインしている作品である所以だ。
なお、あとの三つは「ミシシッピ殺人事件」「スペランカー」「たけしの挑戦状」である。