山を遊び尽くす人たち | クライミングパンツが買えない
「この壁を見て登らないのは、クライマーとしてどうなんだ?」

いつかのロクスノで見た本の広告、確か帯に書いていた。本の名前までは覚えていないけれど、著者の情熱が端的に現れた一文は、僕の記憶にずっと残っていた。



7/11

雨がぱらついて蒸し暑い土曜日、所用で友達と待ち合わせ。待ち時間に紀伊国屋へ寄った。足は自然と「登山・クライミング」コーナーに向いた。そう言えば最近はネットで本買ってばっかりだなぁ、なんて思いながら本棚を眺めていると、大西良治さんの「渓谷登攀」をはじめ、山野井さん他多数のコアなクライマーの書籍が置いてあった。その中に、記憶の中の一文を見付けた。



あ、これか !  ジャンボさんの本だったんだ。早速購入して家で読むことにした。



用事が済んで電車で翌日向かう岩場を思案していた時、ナルミさんから連絡が入った。
「明日岩行く? 横山家も一緒の予定です。」
奇遇。お言葉に甘えることにした。
その夜、本の序盤を読んで(良い意味で)くらくらしてしまった。読み進めたら確実に寝れなくなるので、読書もそこそこに就寝。


7/12


梅雨が居座ったような空のもと、一路西へ。



ジャンボさんちに到着。色のつかない紫陽花が咲き誇る。昨夜かなり降ったようで、水溜まりがたくさんできていた。


雌のコクワガタの亡骸




忙しいマルハナバチ


昨夜の雨でボルダーはほぼ全滅。この日もまったり準備して、雨に強いリードのエリアへ行くことにした。


リードなんていつ振りだろうか、ぎこちない動きでアップの10aを登り、すぐ横の11cに取り付き。写真は11cのゲンキさん。

短めのボルダーチックなルートだったので、2、3便で登れた。しかし、久々のリードなので動きがかたい。

次、久々のリードにややビビりつつ、しかしどう見てもカッコいい岩塔の11cにやる気を出してジャンボさんと取り付き。ジャンボさんに先に登っていただき、次に自分のトライ。しかし、スラブから薄被りへと続くバランシーなムーブを力で押しきろうとして敗退。最後のパートは抜けることすら出来なかった。地面に降りたあと、ジャンボさんの登りがいかに安定していたのかよく分かった。

悔しかったけれど、力で押しきれないような場面での技術を磨けば、もっとクライミングの幅を広げられそうな気もして、なんだかわくわくした。

楽しい時間はあっという間に過ぎて帰路についた。


帰り道、狐に遭遇。



口に獲物を加えた獣は、僕らに一瞥をくれると、車の脇を走り去っていった。


帰り道にふと、ゲンキさんに思っていたことをぶつけてみた。

「アルパインとか山スキーとかやってる人たち、それがメインなんだと思ってました。自分のジャンルを決めずに、ボルダー、スポート、トラッドとか、色々やるんですね。」

「そうだよーこんなに面白いこといっぱいあるんだから。遊び尽くさないと」

確かこんなことを聞いた気がする。


その週、早速ロープを購入。リードも頑張って、色々遊びの幅を広げていきたい。