アハマド前野さん
大変残念ですが、もう時間が残り僅かです。最後に質問がありましまらお受けしたいと思います。今まで私達がお話したことやそれ以外のことについてでも構いません。
質問者
バングラデシュでJICAの日本人の方が、バングラデシュの為に一生懸命やってこられた方が、過激派に殺されました。これはイスラームではどのように説明されているのでしょうか?
アハマド前野さん
ご質問ありがとうございます。これはイスラームの名を語っては決して決して正当化出来ない行為です。と申しますのは、ムスリムが信じている聖典クルアーンの中にはっきりと述べられています。『1人を殺した者,地上で悪を働いたという理由もなく人を殺す者は,全人類を殺したのと同じである。1人の生命を救う者は,全人類の生命を救ったのと同じである。』バングラデシュで起きた悲惨な事件や、シリアの人質事件も含め、テロがイスラームと結び付けられること自体がおかしいのです。断じてイスラームの名を持って正当化出来ない行為であることをご理解下さい。
質問者
ムスリムが非イスラーム圏で生活するにあたって、1番困難なこと、ムスリムとして生きるのに困難であると思われたこと、困難を乗り越えた経験、現在こんな困難がありまして皆様に分かって頂きたいという事がありましたら、1人ずつ教えて頂けないでしょうか?
アスアド木村さん
僕の場合は、大学でも、礼拝するにしても断食するにしても、周りにムスリムがいて、何の障害も無く出来ています。
日本人のムスリムとして、1番問題があると思うのが、僕の両親は理解があるので何の問題も無いのですが、特に改宗ムスリムの場合は、日本人の親、親族との問題が1番大きいのではないかと思います。お墓の問題等。田舎では、日本人ムスリムはおろかムスリムに会ったことがない方も沢山いらっしゃるので、どのように理解して貰えるかが大きな課題だと思います。
オグラシンゴさん
困難なこと、という質問ですが、アルハムドゥリラー、今までムスリムでいて、困難であったこと、この問題は絶対に乗り越えられないよ、といったものはありませんでした。なぜかというと前野先生をはじめ、相談できる方が一杯いらっしゃったので、そういう意味で、日本にいるということで困難であったことはありません。それが幸せであったと思います。
アフダリーさん
困難なこと、というのは僕はそれ程無いのですが、高校生として、周りのムスリムを見て、思うのが、自分はムスリムで、周りは日本人、ムスリムではないので、自分のアイデンティティを伝えると、周りからバッシングを与えられたり、いじめられたり。周りの日本人の抱くイスラームのイメージが良くないので、子供は自分のアイデンティティを伝えることが出来ない、確立することが出来ないというのが、1番大きな困難なのではないかなと思います。
アミーンさん
また僕も質問とは真逆のことを言ってしまうと思いますが、日本に住むムスリム同士、ムスリム社会自体に問題があるのかもしれませんが、日本社会でイスラームを実践することの弊害はそこまで大きくはないと思います。ここにいる外国人ムスリムの方もうなずいてくれると思いますが、「日本人の方がムスリムよりもムスリムらしい。」という言葉を良く聞くと思います。日本人のマナー、生活の仕方がいかにイスラーム的であって、いかに美しいか、見ていて学ぶことが多いなと、ムスリムではない人達を見ていつも思います。僕が恵まれていたのかもしれませんが、それに加えて理解をしてくれる方々も多くて、ムスリムとして日本社会に対する不満は僕自身はありません。
アハマド前野さん
すみません、時間が残っていませんので、女性の方、代表して意見を言って貰っても良いでしょうか?
ダルウィーシュ菜奈さん
私は海外に住んでいて、日本に来たのがほんの10年前なので、最初と、2番目に勤めた会社が日系の会社でした。あまりにも、イスラームに対する理解が足りないと思いました。礼拝をしたいと言ったのですが、「礼拝に時間を割くことは出来ない。」と言われてしまいました。「煙草休憩を20分取っている方もいるし、そこで談笑している方達もいるし、礼拝は5分で済むんですけれども?」と聞いたところ、「人が見てしまうから。」と言われてしまいました。「見えないところで、会議室等でやらせて下さい。」と聞いたところ、「空いている部屋はない。」と非協力的でした。そのことは困難であると思いました。それを解消する為には、外資系の会社に勤めるのが1番かなと思って、転職をしました。転職したらそんな困難は無くなりました。
アハマド前野さん
もっと続けたいのですが、ご清聴ありがとうございました。10代から40代の日本語人ムスリムのセミパネルディスカッション、いかがでしょうか?ご感想等お寄せ頂けましたら、改善に結び付けられると思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。どうもご清聴ありがとうございました。