獣医師も長くやってると、それなりに経験があるのでね。
病院で出会った子や自分の子で学ばせてもらいました。
 
ですから介護についてや、おうちでの生活のしかたなどについてまでお話するのですが、「かかりつけの先生はそこまで教えてくれない」とおっしゃる飼い主さんがいます。
 
う~ん、これはなかなか難しいですよね。
だってヒトの病院でお医者さんが、オムツ交換とか食事のこととか介護のことなんて細かく話さないと思うんです。
教えてもらうなら介護士さんとか、内容によっては看護師さんでしょうし。
 
獣医師の多くは「何でも屋」で、外科も内科も検査もすべてやっています。全身の病気のつながりを総合的に診るうえでは役立ちますが、獣医療も発達し、さすがにあれもこれもと仕事の範囲が大幅に広がりすぎた気がします。そこに介護やらペットロスやら、どんどん広がっていますしね。
 
もちろん獣医師免許ひとつで仕事の幅を広げられるっていいことだと思います。でもそれが逆に飼い主さんに誤解を与えてしまっているのかなと心配になるのです。
「かかりつけの先生は教えてくれない」という発言につながるのだとしたら、治療を徹底する臨床、介護や生活の相談などその他を請け負う分野など、もっとはっきりと分けてもいいのかなと思いました。
 
中には「介護とかペットロスは獣医師の仕事じゃない。病気を治すことが仕事だ!」という先生もいます。
たしかに獣医師だけに認められた仕事は「診療」ですから、おっしゃるとおりです。
とはいえ、動物の行動、病気、解剖などひと通り知識があり、治療以外の部分も今のところ獣医師が担ってもいいのかなと思います。
今後は国家資格になる動物看護師さんに仕事を振ることは期待できるかもしれませんけどね。
 
少しずつ、それぞれの分野で活躍する獣医師が協力できるようになればいいなと思います。