悲しいじいじとばあばの話 | 良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

良田 寛(ペンネーム) 新老いらくの記

いつのまにか「老いらくの記」という言葉が似合う、それなりの歳になってしまいました。
精一杯生きてきた事を何かに残したい、足跡を何かの形で残したいと思っています。

 小さな子供は見ない間にどんどん大きくなる。遠く埼玉にいる孫たちは5才と7才になった。同じ環境で育っても性格はかなり違う。お姉ちゃんはのほほんとしているが、妹の方はナイーブで自分の主張がはっきりしている。お姫様チックなかっこうが大好きで、スカートなんかはかなかったママの子とは思えない。
 孫娘の顔が見たく娘にLINE電話をすると、娘も自分への電話ではなく子供たちへの電話だと察し、いきなりスマホを子供達へ向ける。夢中で遊んでいる孫娘にとっては迷惑らしく
「電話にでない」という声がいきなり聞こえてくる。さらに
「ママ~なんで電話したの?」
「ママが電話したんじゃない。向こうからかかってきたの」という声が聞こえてくる。オムツ替えてあげたの忘れたの・・・と言いたくなるが、そりゃ覚えてる訳がない。
「今度遊びに行っていい~?」と言うと「PCR検査してきてね~」。
 以前は「いいもの上げる~」と言うと
「なに~なに~」とよってきていたが、去年の夏は「どうせチューだからいらない~」に変わった。それでもお姉ちゃんは気をきかせてチューをしてくれる。ただその後袖口で口をふく。最近は「いいものあげる~」と言うと「いらな~い。いっぱいもってるも~ん」と近寄ってこない。
 去年の夏熊本に帰省してきた時、カボチャの煮物を夕食に出したら皮の部分を残している。家内が「皮を食べたら美人になるよ~」と言うと、「ばあばは食べなかったの?」と下の子が真顔でいう。子供は正直なんだろう・・・。
 ママより早く起きる子供たちは6時半には我々の寝室へやって来てベッドに潜り込む。ベッドの中で「あのさ~言っちゃいけないんだけどさ~」「言っちゃいけないんだけどさ~」と言うので「なに~、なに~」と言うと
「じいじとばあばの部屋なんか臭いんだよね~」とお姉ちゃんが言う。それを加齢臭というのはさすがに知らないらしい。それでも毎朝やってきてベッドにもぐりこみ、いろんなお話をしてくれる。


 こんな会話いつまでできるんだろうか。今度帰ってきた時も朝我々のベッドにもぐりこんで楽しい話をしてくれるだろうか。最近もらったお姉ちゃんのお手紙、字がとても上手になった。もうママを追い越したのかもしれない。子供たちはどんどん大きくなっていく。大きくなるにつれ子供たちは離れていく。成長していく姿を見るのは楽しいが、少しだけ寂しさも感じてしまう。