油断して風邪を引いてしまいました。日本列島はインフルエンザが大流行していますねえ (;一_一)  うがいと手洗いをしっかりして予防に励まないと、すぐに喉がイガイガ、鼻水がズルズルになっちゃいます。

 前回のロートレックの際、ミュシャの名前を出したので、今回はそのミュシャを紹介します。アルフォンス・マリア・ミュシャ(Alfons Maria Mucha 1860-1939)はチェコ人です。〈ミュシャ〉はフランス語の発音で、チェコ語だと〈ムハ〉になります。


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 ミュシャはいわずと知れたアール・ヌーヴォー(フランス語で〈新しい芸術〉という意味です)の代表的画家です。アール・ヌーヴォーの特徴を簡単にいえば、従来にはない曲線の使用と、豊かな装飾性でしょうか。


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〈ジスモンダ:1895年制作〉


 ミュシャといえばポスター芸術で有名ですが、そのミュシャが名声と社会的地位を得るきっかけとなった作品が、上記の〈ジスモンダ〉です。〈ジスモンダ〉はお芝居の名前であり、ジスモンダに扮するポスター中の女性は、その当時、圧倒的な人気を博していた舞台女優サラ・ベルナールです。


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〈四季(連作):1896年制作〉


 ミュシャは連作物を多く残していますが、こちらの〈四季〉は〈ジスモンダ〉と共にミュシャの人気を不動のものとした作品です。四季の順番は左から〈夏〉〈春〉〈秋〉〈冬〉となります。


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〈四芸術(連作):1899年制作〉


 連作物をもう1つ紹介。こちらは〈四芸術〉です。いわゆる抽象的概念を人物で表すアレゴリー画(寓意画)であり、左から順に〈ダンス〉〈絵画〉〈詩〉〈音楽〉となります。とにかくミュシャの描く女性は優美ですねえ。


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〈黄道十二宮:1896-97年制作〉



 ミュシャで最も名の知れた作品といえば、〈黄道十二宮〉ではないでしょうか。中央の女性は、天使階級第二位に位置するケルビム(智天使)です。この〈黄道十二宮〉はポスターだけではなく、カレンダーや装飾パネルなどにも展開利用されました。それだけ人気があったということです。


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〈ジョブ:1897年制作〉


 〈黄道十二宮〉のほかに〈ジョブ〉も有名ですね。この作品はジョブというタバコの巻紙会社のために制作されたものです。ミュシャの描く女性は髪がツタのように渦巻いているのが特徴ですが、この〈ジョブ〉はそれがとりわけ顕著ですね。


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〈四つの星(連作):1902年制作〉


 再び連作物をご紹介。画中の女性はそれぞれ左から順に〈宵の明星〉〈月〉〈明けの明星〉〈北極星〉を表しています。明るく華やかな画面を持ち味としているミュシャが、この連作においては、めずらしく暗い色調を用いています。


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〈モラヴィアの教師聖歌隊:1911年制作〉


 ミュシャは20世紀に入ると、数回アメリカに行きます。この〈モラヴィアの教師聖歌隊〉などはアメリカの商業用ポスターの影響が多少あると思います。画面はがっつり力強く、従来のような優美さは影を潜めています。


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〈スラヴ叙事詩―スラヴ式典礼の導入:1912年制作〉


 ミュシャは1910年には母国チェコ=スロバキアに帰り、以後、死ぬまでそのまま定住します。母国に帰ってからは、スラヴ民族の歴史を綴った連作『スラヴ叙事詩』の制作に取り組みました。こちらはポスターではなく油彩・テンペラ画です。


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〈スラヴ叙事詩―スラヴ賛歌:1926年制作〉


 こちらの〈スラヴ賛歌〉は、20作品ほどある〈スラヴ叙事詩〉シリーズの最後を飾る作品であり、ミュシャの後半生の傑作中の傑作として知られています。なおミュシャは、ナチスに逮捕され厳しく尋問されたことがきっかけで体調を崩し、79歳で命を落とします。ホント嫌ですね、ナチスは…… (/ω\)