ターゲットを絞った方がやる事が明確になってくるからいいんだよと言われた事がありますが、ターゲットを絞るって良いお客さんと悪いお客さんを振り分ける事だと思ってました。


【ターゲットを絞るって怖いです】

ビジネスではターゲットを絞るといいって聞きますが正直怖いです。
でもウチでも先輩酒屋さんに言われて初めて気が付いたんですけど、今までにターゲットを絞る事をしていたんですね。
どういうことかと言うと2代目店主は当時浪江町近辺では一番早くディスカウントストアをはじめました。

その時にはディスカウントストアが無かったので売り上げは右肩上がりで、最高年商は私が帰る前の年で2代目店主と母親と姉の3人で2億7千万あったそうで、当時の店舗企業診断士の方が言うには『このお店の規模でこの商圏でこの人数では限界の数字』と言われたそうです。
だけど自分の家で仕事をするようになり帳簿を見せてもらうと、2億7千万売ってても粗利が8%しかありませんでした。

ディスカウントストア時代に重たいビールを運んで1箱売って50円~100円程度の粗利でした。
ビールが売上構成比の約6~7割を占めていると一生懸命価格を崩して粗利を削って売らなければいけなかったし、ビールの種類も新商品が出れば仕入れ季節限定商品が出れば仕入れ、常に新しい物を仕入れないといけない強迫観念に迫られる状況になっていました。

まさに自転車操業でした。

【方向転換する事に】

ディスカウントストアに限界を感じはじめ方向転換をすることにしたんです。
値段を崩さない商品を売るようにしていこうとウチが始めたのが本格焼酎に力を入れた事です。
ただ本格焼酎は売れない時期だったし浪江町は清酒蔵が3蔵もあり日本酒市場だったので売れない地域性もありました。
その時にたまたま飲んだ芋焼酎と衝撃的な出逢いをし『こんなに飲みやすくて美味しい芋焼酎があるなら売れるはず!』という根拠のない自信から、とにかく本格焼酎に力を入れていこうと問屋さんに協力してもらい集めました。

ディスカウントストアにちょっとした専門店を足した感じのお店ですね。

同じ地域の周りの先輩酒屋さんや2代目店主に『本格焼酎なんて売れるわけない!』と言われた時に≪私の中でこれはイケる!≫という確信に変わりました。
だって周りが売れないと思ってやらないんだったらウチが本格焼酎に強い地域一番店になれると思ったからです。

【周りにも本格焼酎を始めるお店が】

本当に売れない時期が続き少しずつ売れ始めたのはそれから4~5年後でした。
だけど少しずつ本格焼酎が売れ始めると『本格焼酎なんて売れるわけない!』と言っていた周りの酒屋さんも扱い始め、ウチでは更に先に行かなきゃと思って蔵元さんと直接取引する方法を知ったんです。
それまでは蔵元さんと直接取引なんて考えもしなかったですが、それができるとわかってからは気になる蔵元さんに電話をし取引させていただける商品が増えていきました。

この頃から全国の先輩酒屋さんとも繋がるようになり、蔵元情報や商品情報を交換するようになってきました。
私の中では本格焼酎を焼ていたことよりも全国の先輩酒屋さんとの繋がることができたのが財産になっています。

そんなこんなで蔵元さんからの商品が増えていくと、それを求めて町外からも買いに来ていただけるようになりました。

【結果的にターゲットを絞る事に】

ディスカウントストアから少しずつ専門店に方向転換していくことになったんですが、当然お客さんも変わってきました。
ディスカウント商品を買い求めていたお客さんはウチよりも安いお店に買いに行くようになりましたし、本格焼酎を買い求めるお客さんが増えてきました。

結果的にこれがターゲットを絞る事になったんだと先輩酒屋さんに教えられました。

自分の中では意識はしていませんでしたがディスカウントのお客さんは来なくなりましたし、来ても高いと『高いんだね』と言って他店に行かれてしまいました。
でも、ディスカウントは脱却したかったので仕方のない事なんだと言い聞かせました。

方向転換した結果として浪江の時の最終的な数字は売上は1億減りましたが、粗利が18%まで上がったので減収増益になりました。

今となってはいわきに移転して自分の好きなものしか売っていないので、益々ターゲットを絞る形になってしまいましたが、私は今のスタイルが好きなので楽しくやらせていただいてます。


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