2023 台湾     ★★★★☆

              

監督:ウォン・ジンポー 

出演:イーサン・ルアン  ベン・ユエン   チェン・イーウェン 

 

 

 

ネトフリ にて「我、邪で邪を制す」という邦題に惹かれて観賞。面白かった。

 

香港人監督が撮った台湾映画なんだけど。台湾で賞を総なめしてるだけでなくて中国本土でも人気らしい。

 

 

  

 

バイオレンス多めだけど全体的に明るい印象なのは主人公のキャラのおかげ。

冒頭のアクションシーンで観客が心を持ってかれる。

 

「仁義なき戦い」の千葉ちゃん、「男たちの挽歌」のチョウ・ユンファ、「新しき世界」のファン・ジョンミン、考えてみたら結構こういう明るいキャラがヤクザ映画って映えるよね。

 

 

 

    

 

往年の日本のヤクザ映画、香港ノワールとか、タランティーノっぽいんだけど、ストーリーが良くて最後まで退屈する事なく観れる。

 

この映画って実際の台湾の大犯罪者三人のモデルがいるってのも興味深い。

 

   

 

原題(中国語)は三国志の時代の故事の、暴れん坊の周處が二害の大蛇と虎を退治したのに村人が喜んでくれなくてなんだと思ったら俺も嫌がられてたので反省するって話。英語の題名は仏教の三毒の貪瞋癡で「豚」は「痴」愚痴の痴だけど無知の意味。正しいことが分からない毒、「蛇」=「瞋」怒りを表し、嫌いなものを憎み嫌悪する事、「鳩」=「貪」で貪欲の毒。 

 

 

    
 

特に興味深いのは、主人公の陳桂林のモデル劉煥榮。

 

ヤクザの幹部専門の殺し屋。若い頃に喧嘩を止めに来た警察官に重傷を負わせた罪で鑑別所に入った時期があるせいで、その後に人生をやり直そうとしたが、仕事が見つからずヤクザの道に戻るほかなくなった人。

 

彼は何度も殺しをやってるけど「私が殺したのは全て悪人で、人々から悪を除外するためだった」と主張していて。実際に彼は逮捕前も逮捕後も被災地へ復興支援したり孤児院へ寄付したり数々の慈善事業をして義賊っぽい行動をしていて。彼の為に減刑を求める人々が多かったが結局減刑はされずに死刑になってる。

 

30年経って映画化され大ヒットとなって、前科者が社会復帰する事の難しさや(彼の出目が外省人なので、日本でいう在日差別的な扱いを受けてきた事など)台湾世論を騒がせてる。