Kindle Unlimited にて読了。短くて、めちゃ面白い。さすがスタインベック。

 

今、ちょうどワケあってカリフォルニアでハウスシッター中なんだけど。この小説の舞台であるサリーナスの近くにいる(車で2時間くらい)ので感慨深い。世界恐慌時のカリフォルニアの話だけど、現代でも通用する話で名作だった。

 

 

 

こっから先はネタバレで。

 

 

 

ジョージとレニーの家族愛ともいえる友情と、現実が悲し過ぎて読み終わった後に深く考える。

 

作者の、それぞれの社会的弱者の悲しみとこの社会システムに対する怒りは「怒りの葡萄」に共通だけど。

 

作中に出てくるカーリーの新妻をトラブルメーカーだと敵視する描写があって(夫に縛られて友人もいないのでお喋りしたいだけで悪気はあんま無いんだろうけど、売女呼ばわりでボロカスに言われてる)どうしても弱者同士で足を引っ張りあいより不幸になってく展開が切ない。

 

まぁでも、カーリー妻は、パルプフィクションにおけるユマ・サーマン(ギャングのボスの妻)みたいなもんで、関わりたくないわな。でも、面倒事になるのが分かってて、こっちが関わりたくない厄介な奴(カーリーや、カーリーの妻)に限って近づいてくるのがこの世の定め。。。チンピラとかストーカーに狙われた時点で積むのと同じなんだよな。

 

短い小説の中で、それぞれのキャラクターの描写に、話の展開の面白さ。本当に面白い。下手な映画見るより絶対に良い。

 

 

 

 

この小説は短い上にスタインベックなのでアメリカでは教科書とかに載ってて誰でも知ってる話らしい。

 

あと、夫の同級生が最近ワシントン州のどっかの市長になったんだけど。友人間ではかなりのビックリ事件で。なぜかというと彼はやたらコミュ障で(当時から政治は好きだったらしい)挙動不審なので、あだ名がレニー(この物語の知的障害者の名前)だったという。今ほどポリコレ厳しくなかった当時でもわりと酷いニックネームだったらしい(笑)日本でいうなら裸の大将みたいなもんかな。

 

Teach Lennie about the rabbits (レニーにうさぎについて教える)って言い回しもあって。こういう事したら大問題になるよって事を教えるとか学ばせるって意味だけど、これもこの小説からきてる。