束縛の場合
始まりは、どきどきわくわくの連続
初めての夜は、パーティーで酔っ払ってシャンパンでつぶれて
気がついたらソファーの上で寝てた
起きたその日は、一緒にタクシーで彼の家に帰った
その後も、夜電話がきて、今すぐ会いたいからおいでよって
連日、どきどきの連続
お休みの日に一緒に買い物をして、バッグや洋服を一緒に選んだり
夜中、青山や六本木や麻布をバイクに乗って飛ばしたり
お台場に行ってみたり
朝は会社まで送ってもらったり
一緒に友達のパーティーにいったり
夏の海の夕暮れ時をすごしたり
絵に描いたようなラブラブ
でも
それは条件付きでもあり
携帯電話の着信やメール
PCのメールは
いつもチェックされていて
お友達とのお出かけにもすごく気を使う
いつ どこで だれと なにをしているか
ぜんぶぜんぶ、彼の言いなり
門限を越えて帰った夜
スーツの上から冷たいシャワーをかけられて
さすがの私もおこって外に飛び出した
でも、30分くらいたつと、とたんに不安になって
彼が恋しくなって
ごめんねを100回くらい繰り返しながら
彼のもとに帰る
その連続で
心のどこかで いつか 我慢の限界がくるかもしれない
そう思いながら
同時に
いつまでも彼に守ってもらいたい
いつまでも自分の居場所にしていたい
そんなことも感じてた
その二つの気持ちを抱えながら
不安定なバランスを保ち
もっと幸せになれないのかな
と欲張っていたずるい私
たたかれたり
ものを投げつけられたり
無理やりセックスされたこともあった
それでも、優しいときの彼はとても優しくて
そして、すごくかっこよくて
おしゃれで
気が強くて
器用で
私が持っていない魅力をたくさん持っている気がして
自分が傷ついたことや
認めたくない彼の弱さを
いい出来事で帳消しにしようとしてた
でも
いつも心のどこかで無理をしていて
そこから自分を連れ出してくれる何かを待っていたようでもあった
そんなとき
女友達が、部屋が一つ空いているからいつでもおいで
合鍵をくれた
同時に、悩みを聞いてくれる会社の同僚がいて
いつの間にかその人に恋をするようになっていた
そうやって
自分の痛みを和らげて心を暖かく溶かしてくれる存在に甘えていた
自分一人で立っていられる気がしなかった
甘えていても泣いていても痛みをみせても
変わらず自分だけを愛してくれる存在がほしかった
理由はなくても誰かの特別な存在でいたかった
その事実が自分の存在意義でもあった
そうやって 本当の自分と向き合うことはせずに
自分のことを考えたりする隙を心につくりたくなくて
とにかく誰かに夢中になっていた
ある晩のこと
私は自分の洋服も荷物も何もかも全て持って
彼がいないあいだにいなくなった
蒸発?
その後、彼からメールがきた
そんな逃げ方はずるいよ
ごめんね
でも、そうする他なかった
限界だった