1972年2月26日 あすにも強行突入か(あさま山荘事件) |   連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ殺人事件、新聞記事)

■あすにも強行突入か まず土のうで陣地(朝日)

連合赤軍事件スクラップブック (あさま山荘事件、リンチ粛清事件)-1972-02-26


...25日の状態のままで突入すると犠牲者が出る公算が大きいため、土のうを積んだ”陣地”をさらにつくり、これを足がかりに、山荘内の様子が外からわかるようにしたうえで、実力による泰子さん救出に踏み切ることにした。
...一方、立てこもっているグループのうち2人は京浜安保共闘幹部、元横浜国大生の吉野雅邦(23)と寺岡恒一(24)にほぼ間違いないとの見方を固めた。しかし、吉野と見られる写真が赤軍派幹部梅内恒夫(24)に、また寺岡と見られる写真が同派幹部坂東国男(25)や同行方正時(22)にも似ているところから、さらに確認を急いでいる。

■救出アイデア続々(毎日)
長野県警本部には138件もの救出アイデアがよせられた。「水道に睡眠薬をいれ、犯人を眠らせる」(23件)「山荘に盗聴マイクをとりつける」(15件)「一挙にぶっつぶせ」(福岡)「山荘に火をつけいぶり出せ」(愛知)というぶっそうなものから、「強力磁石を使って犯人の銃をすいつけろ」(熊本)「ヘリコプターで屋根をひっぱがせ」というのまでさまざま。25日には評論家、大森実氏からも「ベトコンのゲリラ戦術を利用、数箇所から同時にトンネルを掘って山荘に攻め込め」という提案もあった。


■警察情報筒抜け?(毎日・夕刊)
 軽井沢警備総合本部は、①現場調査の甘さから種々の計画の進みが遅く、計算どおりの効果がない②犯人はFMラジオを持ち警察無線や報道無線、テレビニュースまで聞き、警察の動きを全部キャッチしている可能性が強い-の2点に議論が集中した。牟田郁夫さんに確認したところ、携帯用のFMラジオを含め、最低二個のラジオが山荘内にあることがわかった。本部員が同型ラジオを持ち込み現場で実験したところ、警察、報道無線、さらにテレビの音などがびんびん入った。


■こもるは4人(読売・夕刊)

長野県警特捜本部は犯人は4人とほぼ断定した。これまで写真や指紋などから寺岡恒一、吉野雅邦を確認、さらに坂東国男とみられる男を加えた3人がろう城しているものとみていたが同日までに収集した写真などから、このほか3人の指揮者とみられる"第4の男"がいるとの結論に達した。この男はいつも2階の「しらかばの間」もしくは「かえでの間」におり、ほかの2人に指示を与えているというのが本部の見方。


「あさま山荘1972(下)」(坂口)によると、26日には山荘内でいろいろなことが起きている。


未明に吉野が濃い霧に乗じて逃亡を図ろうと提案し、配水管や浄化槽を調べるがいずれも利用できそうもなくあきらめる。


朝9時半、泰子さんのお母さんの呼びかけが始まると泰子さんは動揺し、「顔だけでも出させてください」と懇願するが坂口は拒否した。坂口は泰子さんの気持ちを落ち着かせようと泰子さんのハンドバッグからお守りを渡した。


午後になって、坂口が「何かいい脱出策はないか?」と問いかけると、坂東が「警官を人質にとろう。引きずりこんでベランダから吊るしておこう」と答えた。


夕方、寺岡の父親の呼びかけに、誰かがポツンと「この世にいないものの親をよぶんだからなあ」と言った。坂口は黙って頷いたものの胸中苦しい思いをした。


夜、泰子さんに中立を誓わせる。「中立とはどういうこと?」ときかれたので「警察側にもわれわれの側にも立たず、管理人の立場を守ってくれればいいのだ」と答えた。


夜、つまらないことで吉野が怒り出す。「坂東が任務中にお菓子をつまみ食いしてるのをみた。腹立たしさを抑えることができない。全員で討論したい」。坂口は「今頃になって何をいい出すんだ。君はまだ金子みちよの総括ができていないんだぞ」とたしなめるが、吉野は納得しない。結局、坂東に自己批判させ、その場を収める。