ヒヨコ初めての方向け紹介文:①ガイドのグレイさんと私(2018年1月13日up、2023年4月22日追記)
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12月1日から始まった

カクヨムコンのことを書こうと思ってたのに

それどころではない!!

 

▼数日前のX(Twitter)

 

 

 

「シャルル七世は楽譜を読める」という

英文資料を見つけて関連情報を調べていたら

フランドル楽派のヨハネス・オケゲムなる人に

辿り着きました

 

 

なんでも、オケゲムのレクイエムは

シャルル七世の死に際して作られたらしい!

 

ちなみに当時(15世紀)の楽譜は、

私たちが知っているト音記号と五線譜の楽譜とは別物で

いまだに解読できないか解釈が分かれる

特殊な記法・記号もあるらしい

 

日本の義務教育で学ぶ西洋音楽は

バロック音楽のバッハ以降からなので

さらに200年以上前の古楽はなじみがない。

 

日本語の情報が少なくて

英語やフランス語まで探しました

 

 

Missa pro defunctis (Requiem) a 4 (incomplete, probably composed for the funeral of Charles VII in 1461)

 

 

英語版とフランス語版のWikipediaに

「おそらく1461年のシャルル7世の葬儀のために作曲された」

と書かれてますね。日本語版にはないんだ…

 

ルイ11世説もありますが、

生前から交流があってオケゲムが恩義を感じていた

といわれるシャルル七世説の方がしっくりくると思う。

 

ここ数日で、つぎはぎだけど

オケゲムとシャルル七世について

少しずつイメージがつかめてきた。

 

百年戦争が終戦する2・3年前に出会っている。

ブルボン公(7番目のシャルルでは現在クレルモン伯)

が所有する礼拝堂で雇っていた聖歌隊7人のうちにひとり。

 

通常、主君が亡くなるまでは

別の主君に仕えることはないらしいのですが

なぜか、ブルボン公が存命でありながら

シャルル七世が所有する王家の礼拝堂に移籍している。

何があったんだろう…キョロキョロ

 

うちなるシャルルさんと対話しながら、

導かれるように情報をたどっていく。

 

 

 

 

 

こちらの動画が、ヨハネス・オケゲムのレクイエム

正式名は「Missa pro defunctis」

 

現存する最古のポリフォニック(多声)レクイエムだそうで。

写本には白紙部分があり不完全だとも。全五楽章で30分くらいです。

 

「シャルル七世に恩義がある」と聞いて

なんとなく予想してましたが、このYouTubeの概要に

オケゲムはシャルル七世に才能を見出された

と書いてありますね

 

 

 

聞いてみて…

モーツァルトやヴェルディなどの

有名なレクイエムとはだいぶ違う印象。

 

グレゴリオ聖歌の印象に近いけど、もっと柔らかい。

個人的には、第二楽章「Kyrie」の純度の高い美しさと、

第五楽章「Offertorium」22:19辺りからのところが

かっこよくて好き(語彙力がなさすぎる)

 

あまり知られてないかもしれないけど

間違いなく天才の仕事だよね…(シャルルさんが言ってる?笑い泣き

 

現実的な音楽の観点から見ても、

私やガイドや前世たちの観点から見ても

この曲はとてもミステリアス。

 

オケゲムがめったにやらない技法だったり、

レクイエムとしては一般的ではない様式だったり

(最古のレクイエムだから様式自体が定まってなかったかもしれない)

 

一般的なレクイエムでは歌われない歌詞があったり

必須でしょ…って歌詞が省かれていたりする。

 

オケゲムからシャルル七世への恩義と敬愛

(私の解釈ではなく複数の資料にそう書かれている)

 

専門的なことはわからないけど

この曲は四声のうちバスが非常に難しいらしく、

オケゲムが当時著名なバスの歌い手だったことを考えると、

 

このレクイエムには

故人(シャルル七世)の音楽の好みが

反映されているのかもしれない

 

あるいは、オケゲムから見た

シャルル七世の人となりが表現されている?

 

オケゲム本人が、王の葬儀で

このレクイエムを歌った可能性もある。



そもそも、最古の…といわれているとおり、

当時、人の歌声は格が低い世俗のものとされていて

この葬儀ミサの演出自体が異例。

「儀式としてのレクイエム(聖書の詩篇)」を

歌にするというのが、これまでなかった。

 

王の葬儀で、勝手にそんな演出をするとは考えにくく、

シャルルさんの意思、何らかの意図があったのではないか?

 

 

▼とあるCDのジャケット。マリー・ダンジューを彷彿する…

 

 

 

以前紹介した、シャルル七世の臨終エピソードと合わせて考えるとさ…

 

七月二二日の朝、彼は死の床に付き添う司祭に「今日は誰の祝日か」と聞いた。

カトリックの暦には、毎日、その日の守護聖人が記されているのである。


「今日は、マグダラのマリアの祝日です」
「そうか。あの罪深い女の祝日に、世界一罪深い男が死ぬのだな。神の御心に感謝しよう」

 

と言い残し、その日の午後、従容として黄泉の国に旅立った

 

 

恩義のあるシャルルさんへの感謝と追悼をこめて

レクイエムを作曲し、葬儀で歌っていたとしたら

 

オケゲムにとってのリトリーバルみたいなものかも。

 

葬儀の時、当然ながらシャルルさんは死んでいる。

このレクイエムを実際に聞くことはなかったはずだけど、

今、こうして私が聞いていろいろ考えてるの、なんかすごいことだなぁ

 

 

 

 

 

『7番目のシャルル、壮年期編』のフラグかな笑い泣き

 

拙作に限った話ではないですが、

もしシャルル七世の生涯を最期まで映像化するとしたら

エンディングはオケゲムのレクイエムで決まりですね!

 

 

 

 

 

 

 

 

\ここから下は自著の紹介ニコニコ

 

 

  自著など

 

 

📕最新作:アレクサンドル・デュマの未邦訳戯曲『シャルル七世とその重臣たち』

全五幕の歴史・悲劇を翻訳。現在、カクヨムで公開中。

 

 

 

 

📕新刊:十九世紀の異端科学者はかく語る: ダーウィンの愛弟子ラボックの思想と哲学

ジョン・ラボックのエッセイ『The Pleasures of Life』第一部を書籍化。
訳者・序文で「ダーウィンとラボックの師弟関係」を書き下ろし。

 

 

 

 

 

📕既刊:神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー

2022年10月21日、シャルル七世即位600周年記念に書籍を出版。

デュマ・フィスの未邦訳小説を翻訳しました。

 

 

 

 

 

Web上で公開しているタイトル一覧


📕【少年期編・完結】7番目のシャルル、狂った王国にうまれて 〜百年戦争に勝利したフランス王は少年時代を回顧する〜(表紙絵あり)

小説家になろうカクヨムアルファポリス

 

 

📕【青年期編】7番目のシャルル、聖女と亡霊の声

カクヨム

 

 

📕19世紀の異端科学者はかく語る(改稿前)

序文新章「訳者の感想文」

 

 

📕神がかりのジャンヌ・ダルクと悪魔憑きのトリスタン・ル・ルー(改稿前・表紙絵あり)

カクヨムアルファポリスnote