元外資系ホテルスタッフがホテルの朝食ビュッフェを中心に色々語るブログです。

 

 昨今の情勢により、朝食ビュッフェどころではない状態でブログも更新が滞ってしまいました。

 それでも、毎月いくらかのアクセスがあり、ほんの少しでも読んでくださる方がいることを知り、いまさらながら更新を再開します。

 

 今回は、ホテル業界というよりも接客業全般で耳にする「マニュアルは必要だ・不要だ」論争について語ります。

 

 個人的には、マニュアルは必要だと考える方です。

 なぜなら、一定の判断基準は必要だからです。

 

 マニュアル=接客時に使うものと定義されがちですが、接客時だけマニュアルを使うわけではないのです。

 ホテルで言えば、お客様が体調を崩された時(倒れてしまった時やレストラン利用後に食中毒の疑いが出てきた時など)や、クレームが発生した時(主に不当な要求)にも必要です。

 

 接客に関しては、ある程度スタッフの判断にゆだねる事も出来ますが、上記のようなケースの場合は誰が取り組んでも同じ結果が出せる事が非常に重要です。

 例えば、お客様が突然倒れてしまった時、救急車を呼ぶことも大切ですが、ホテル内の誰に報告するか・救急車をどこに誘導するかが決まっていない状態で行動すると混乱することが目に見えています。あり得ないだろうと思うかもしれませんが、複数人で同じ人に対して救急要請するということも起こりえます。(非常時は冷静になれない人が多いものです。)

 

 不当な要求を受けた時は警察を呼ぶ必要もあるでしょう。(不当な要求を押し付ける方はそもそも人の話を聴く態勢ではないことが多く、精神的にも不安定な方の場合、次の瞬間に何をするかが分からないものです。)

 

 このような場面に出くわした時、おろおろしていては何も進みませんが、マニュアルがあればある程度は冷静に物事を進める事が出来ます。非常時こそ冷静に、が重要なのです。

 

 スタッフがパニックになってしまったら、お客様はもっとパニックに陥ります。パニックの連鎖を落ち着かせることは簡単ではないのです。(現に、今も一部地域のスーパーで買い占めに近いことが起きていますが、落ち着いてと言っても聞く耳を持たない・理解が出来ない人が一定数いることが物語っています。)

 

 マニュアルはある種の精神的な拠り所でもあると思います。

 一方で、マニュアルだけに依存することは、自分で考える習慣がない人にとっては良いものとは言い切れないので、そこが難しいところです。

 マニュアルを教える事と、自分で考える癖をつけてもらう、この両方がバランスよく教育されてこそ活きてくるのではないかと考えています。

 

 自分で考える癖がないスタッフは、非常時にマニュアルがあっても慌てると思います。(そもそも、マニュアルの存在自体、頭から消去されているかもしれません。)

 自分で考える癖がない人に対しては、問いかけ(質問)をしてコミュニケーションを取ってある種強制的に考えさせるところまで引き上げないと前に進まないと思っています。(自分で考える癖がないと気付かない人がいます)

 

 教育は難しい…。でも、その成長ぶりを見る事もまた楽しいものです。