次の文章は以前私が若者向けに書いた文章である.一部に幼稚な表現があるが御了承願う次第である.

 

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 霊界なんてあるわけないよ,と思っている学生がもしいたら,その学生は想像力が足りない.自分が死んだらどうなるのかについて今のうちから考えておいた方が良い.死後の世界は確実にある.脳科学研究者の多くが死後の世界の存在を認めているし,心霊科学研究の分野は170年以上の歴史のある古いものである.抑々,人間とは本来肉体のみでなく霊魂が関与しているのである.魂が肉体にプログラムをして生まれ,そして,今君達の多くは無意識乍ら魂の指令に従って生きているのである.

 スウェーデンボルグ著「霊界からの手記」を読むと霊界の様子から多くの教訓が得られる.18世紀にヨーロッパで生きていたスウェーデンボルグは50歳代半ばまで通常の科学者として多岐に亘る専門分野で多くの研究業績を積み上げて来たことで有名であった.特に,機械工学の分野では飛行機の模型設計を行い,彼の時代の凡そ150年以上後のライト兄弟の飛行成功への足掛かりになったとされている.

 スウェーデンボルグが56歳のとき,ある夜,枕元にイエス・キリストと思しき霊魂が降りてきた.そして,「これから貴方は肉体は生き乍らにして,霊魂のみで霊界を探訪し,その様子を克明に記して人々に啓示を与えなさい.」といった趣旨のことを伝えられたという.キリストは今から2000年程前に磔になって殺されたということにされているが,その霊魂は千数百年経っても霊界で存在し続けていたということである.しかも,キリストはスウェーデンボルグのみでなくその後も度々想念の世界に出現し,日本人にも多くの啓示を与え続けている.次に,霊界の詳細について順次説明する.

 先ず,死んだ後に霊魂は肉体を離れて,暫し,その肉体の傍に滞在する.人々がその人の死を悼む様子や死んだ肉体が葬儀の際に祭壇に挙げられる様子等を具に観察する.その葬儀に出席している人々が声には出さないが密かに思っていること等がその霊魂には事細かく聞こえてくるらしい.その後,普通の霊魂は数週間程経って地上を離れ,次は精霊界を訪れる.精霊界は死んでから間もない3年位迄の霊魂が住む世界である.その精霊界で真の霊界である3つの天国・霊国・地獄のどの世界に行くかを決める.その決定プロセスはこうである.インストラクターが生前の行いについて,まるで映画を見るが如く事細かに見せてくれる.全ての行いが人としての正しい真理に合致したものであったかどうかをその時にそのインストラクターと共に自分で見て判断する.そうすると,自分が利他愛で生きていれば,天国で過ごせるし,我欲をふんだんに出しまくって,他人様に迷惑をかけて生きていた人は地獄界を選ぶことになる.「地獄に落ちるぞ」という言い方をされがちであるが,実際は地獄に自ら選んで行くのである.一般に,閻魔大王は霊界の「法廷にて魔鏡を用いて全ての亡者の生前の行為を残らず記録し,裁きの場でスクリーンに上映する機能を利用する.その為,裁かれる亡者が閻魔大王の尋問に嘘をついても忽ち見破られる.」とあるが,これは仏教の一宗派の捏造話と捉えるべきである.

 霊界は天国に近いほど,神々様からの愛溢れる御光がその霊魂の霊体に流入してくるので,生前精妙なる波動の心で生きていれば,霊魂になっても神々に近い高い位置で過ごせることになる.3次元的には地球上空は我々現世の人間の目では空しか見えないが,実は,4次元で霊体になると順次高い位置から地の底まで様々な霊界が存在している.普通は狭い意味での霊界に住み,自分の霊位と合う霊魂の集団と共に過ごす.森があったり,林があったり,都市があったり,学校の如きものもあるらしい.

 普通の霊界よりもより高い位置にある天国は一説では地球上空80km以上に位置し,所謂「極楽」と呼ばれる領域になる.その天国にはどのような人々が住んでいるか.それは生前無欲で貧しい暮らしであり乍ら,人々に愛の心で接し,謙虚で明るく感謝の日々を送った霊魂である.更に,天国では他の惑星の霊界とも通じているので他の惑星の様子も霊魂のまま探索したり交流したりすることも出来る.

 一方,生前地位・名誉・金銭を追い求めて「偉く」なった人々は悉く暗く闘争の絶えない地獄に住んでいるらしい.例えば,江戸時代に封建社会で武士として何十万石という財産を得て威張って暮らしていた大名が殆ど全て地獄で数百年間の反省の日々を送るらしい.巷では神社に参拝に行って,そこの神社に祀られている昔の戦国武将に肖って自分も強くなりたい等と願いを込めて参拝する人々が多くいる.ところが,そういった武将達の霊魂の多くは地獄であるので参拝した本人も同調して果ては地獄に行くことになるだろう.

 また,生前,宗教にどっぷりと嵌っていた人々はどうなったのか.神仏を信じて敬虔なる信者として過ごしてきた人々が果たして天国に行けたかどうか?中には天国にいる方々もいるが,スウェーデンボルグによると聖職者としてキリスト教を流布していたある宗教家は地獄にいるようである.また,仏教の一宗派を興した僧侶等も地獄で辛い反省を強いられ,極めて峻厳(しゅんげん)なる処分が下されている.

 ところで,科学者はどうなのか?ノーベル賞を受賞した偉人とされる科学者も多くが地獄である.自分が研究してきた極狭い唯物科学の分野の中で王様の如く振舞っていた「お偉い専門家」は決して霊界では高いところへは行けないのである.謙虚さが足りないので天国の精妙なる波動が霊体には眩し過ぎて堪えるのであろう.

 以上,縷々述べたが学生はどのように感じるだろうか.「未だ,俺は17歳だから死ぬことなんて先さ」等と呑気に過ごしていたら,大変なしっぺ返しを食らうだろう.死後の霊界でどう生きるかはこの人生で如何に謙虚に強く正しく明るく感謝の心で過ごすかが重要である.ここまで読んで死後の世界に多少なりとも興味が湧いて来たなら,上記の他にも霊界通信の本が沢山あるので自分で探して読んでみよ.人生設計をする上で大変重要なヒントが隠されているに違いないから.

 

参考図書:エマニュエル・スウェーデンボルグ著・今村光一抄訳:「完全版スウェーデンボルグの霊界からの手記」,経済界,(2007).