京都府民の半分以上が京都市内に住んでいます。

 それに較べて、大阪市内に住んでいる大阪府民は3分の1も居ません。

 でもこれまで、京都以上に府市合わせ問題が大阪ではずっとありました。大阪都構想が初めてではありません。


 なぜ大阪府と大阪市は府市合わせなのか。

 それは主に、他の政令市にはない大阪市の特殊性ではないでしょうか。

 

 第一に、夜間人口に較べて昼間人口が多いことです。夜間は260万、昼間は380万と言われます。

 これは、東京都区部とならんで政令市でダントツ一位です。


 第二に、東京都区部には裕福な居住者が多く、夜間人口は少なくても税金はたくさん入ってきます。

 裕福な会社の本社も多いので、東京都にもたくさん入ってきます。

 しかし、大阪市は、そこから芦屋市や箕面市など周辺市に裕福な人々の住宅は移動しています。

 反対に、生活保護受給者の人数は、2000年ころから第一位で、しかもどんどん増えています。

 大阪府域に、大手企業は少なく、もともと大阪発祥の企業も本社機能をどんどん東京に移しています。


 主にこの2つのことによって、大阪市は赤字から抜け出せません。

 それなのに、大阪市民が払う税金の約7割は国に持っていかれます。

 これは、他の都市と比べても多いようです。


 これらのことをなんとかしないと、大阪は強くなりません。

 このままの大阪市で、それを解体して7ほどの特別区にしたら、区議会の運営経費や区議員の人件費が増える分、さらに赤字になるでしょう。

 それでなくても、大阪市の職員は他市より多いのに。


 ですから、そんなことをしてもどうにもならないと思います。

 それよりも、大阪も東京都知事のように、一人の首長の方がいいと橋下さんが言うのであれば、大阪府知事が大阪市長を兼務すればいいのではないですか。


 法律的にも、大阪都をつくるより難しくないはずです。

 

 区の再編については、たとえば市会議員の選挙区を従来の区ごとに細かく分けるのではなく、いま議論されているような区分で、7つほどに大きく分けてみたらどうでしょう。

 また、参院選挙の全国区とか比例区のように、広域立候補制度も併用するなどして、区の範囲をまず議員さんたちの選挙区から広げる施行を4年ごとにしてみればいいのではないでしょうか。


 今の再編案では、制度変更にお金がかかりすぎる割には、先に述べたように赤字が減ることはないので、これはやめた方がいいと思います。


 今の基礎自治体議論が不毛に近いものであることは、以前に述べたのでここでは略します。

 大阪府知事と大阪市長の兼務は、東京都知事が実質的には同じような仕事をしているのだし、たとえば水害対策はそれを担当する副市長に任せればいいのだろうということであれば、この場合もそれぞれに筆頭副首長をおけばいいと思います。


 それが一番お金をかけずに、施行できることではないでしょうか。


 堺市は、大阪市とは赤字ぐあいがかなり異なりますし、どちらかといえば黒字のようです。

 大阪市は、横浜、名古屋、京都、神戸とともに旧5大市の1つとして特別政令市としての権限を目指す大都市であったので、大阪府と一緒になることにはそれなりの意味はあるでしょう。

 もしダメなら、兼務をやめて特別政令市を目指す方向に戻せばいいのですし。


 しかし、堺市は100万人もいない都市で、最近たくさん増えて全国で20個もある政令市の一つに過ぎません。

 橋下大阪府知事兼大阪市長が邪魔だと思うほどの力は持っていないでしょう。