堺市の文化施設である文化観光拠点とは、どのような施設なのか。次のような答えが、これまで堺市のホームページなどに書かれていた。
千利休や与謝野晶子に関する常設展示や様々な企画展などによって、堺の特色ある歴史文化を紹介するとともに、観光ネットワークの拠点となる施設を整備し、まちの賑わい創出と都市魅力の向上に寄与するものである。
これを、少し細かく分けて考えてみよう。
①、千利休や与謝野晶子に関する常設展示や様々な企画展などによって、
②、堺の特色ある歴史文化を紹介するとともに、
③、観光ネットワークの拠点となる施設を整備し、
④、まちの賑わい創出と都市魅力の向上に寄与するものである。
まず、①千利休や与謝野晶子に関する常設展示や様々な企画展などによって、という部分である。
堺市では行基、千利休、河口慧海、阪田三吉、与謝野晶子を5大先人というらしい。
このなかでは、やはり千利休と与謝野晶子が突出している。この2人の展示室を作ることは悪いことではないだろう。
ただ、生家が近いという以外、全く異なるようにしか思えない2人を、1つの施設で紹介することはどうかと思うが。
次に、②堺の特色ある歴史文化を紹介するとともに、である。
茶道と和歌、安土桃山時代と明治時代、前述のとおり全く異なる2人であるが、それによって堺の特色ある歴史文化を紹介するということであれば、その展示内容に期待したい。
大阪市の特色ある歴史文化とは明らかに違うということであれば、大阪市と大阪府のふしあわせを解消し強い都市大阪を作る大阪都構想に都市堺を入れるのは、都市大阪の強化にはならないことになろう。
次に、③観光ネットワークの拠点となる施設を整備し、である。
文化観光拠点というように、この施設は歴史文化施設であるとともに、観光拠点でもあるらしい。
どうも、二兎を追う者は一兎をも得ずな感じがする。利休と晶子の両方を展示するだけでも散漫な感じなのに、そのうえ観光拠点もなのであろうか。
最後に、④まちの賑わい創出と都市魅力の向上に寄与するものである。というまとめ部分である。
これは、施設建設の目的であろう。確かに、賑わい創出は大事である。しかし、文化施設建設はまず文化の振興・顕彰そのものを目的とすべきであろう。
観光や賑わいなどは、文化振興の結果として、自ずとついてくるものである。観光振興や賑わいそのものを目的としてしまうことで、かえってその目的は達成できなくなるだろう。
さてこれからのことから、堺市の文化観光拠点の形成事業には、いくつかの問題が考えられることが分かった。
では、前回のブログにも掲載した、「歴史文化にぎわいプラザ」という施設名はどうなのであろうか。
すでにここにも書いたとおり、にぎわいを全面に押し出したネーミングは、文化施設としては最低であろう。
にぎわいプラザという名前は、他市でも既にいくつか使われている。
近くでは河内長野市であり、他にも天理市や中津川市などがそうであるが、商店街などの振興策やイベントで使われる名前である。
千利休や与謝野晶子顕彰とは、似ても似つかない名前であることは明らかであろう。
このようなとんでもない名前になったことに、堺市の歴史ファンや与謝野晶子ファン、茶道関係者はなぜ抗議しないのであろうか。
京都の文化施策も内実はひどいものであるが、ここまで明らかにおかしなものは流石に少ない。
堺市トップの文化施策がこれであれば、過去に輝かしい歴史を有するとはいえ、大阪市に吸収してもらい大阪都になるしかないかもしれない。
以上、堺の知り合いなどから聞いた話を、私なりにまとめたものである。