先週放送していた長時間にわたる音楽番組、最近はこういう番組があるたびに「またか」と思ってしまう。全くもって無駄だとは思わないし、いつも放送している番組が潰されることの不満があるわけでもない。

 ただ、こういう長時間番組は何処かで視聴率を大きく取ってやろうという意欲をどうも感じない。押し並べてそれなりに取れていれば良いという感じしかせず、それこそ段取りにしたがって滞りなく進める事に終始する。昔と違い生放送の魅力は今ほとんど無いに等しい。


 民放の大型音楽番組と言えば、
〔1〕大物司会者の人望に頼りきり&テーマがいつも大雑把
〔2〕テレビ向きで受けの良いアーティストばかりで何かと企画に手間をかけたがる
〔3〕昔の音楽番組や賞レースの映像にいつまでもしがみつき今の内容は至って平凡
〔4〕独自のゲストや演出をしているつもりたが観る側にはまっておらず結局は普段放送している番組の拡大版

 全国にキー局を持つ4局への個人的主観だが、大体どこの放送局かお分かりになるだろう。


 冒頭に述べた放送局は〔2〕にあたる、最近は芸能事務所やレーベルとの癒着が目に余るほどになっていて一番ミーハーでうんざりする位置かもしれない。他の放送局に存在感が無くなっていると言えなくもないが、そもそも較べる話ではない。

 この放送局のもはや「クセ」なんだろうなと思うのだが、何かと感動と結び付けたがる。24時間放送を行う番組のイメージは確かに強いのだが、いくら「慈善」の気持ちがあったとしてもそれを伝えようとする演出がそこからはみ出している事がある。それは決して「偽善」ということではないが、時折演出する側の表現に出演する側が合わせているだけという画が視聴者に見えてしまう。端的に熱量の差。

 感動演出のはみ出しの他に目につくと言えば、「何とかWEEK」などと一週間にわたりテーマを設けると縛りが変にきつくて何処かから情報を引っ張り込んでくるが結局は二番煎じや三番煎じのモノ。他のところで一度は出したものがまた出てくるだけで視聴者を軽く見ている。情報バラエティが多い放送局の悪い部分が出てしまっている。

 それらの要素をこういう長時間番組で出してしまうから、嫌気がさしてしまう。長丁場を埋めるためには必要というならば最初から長丁場を作らなければ良いだけの話。本当に長時間放送を行う意義を見出だしているのか聞きたくなる、上から「やれ」と言われてやるようではそれは本当に《ただの番組》でしかない。


 もう1つ言いたいことがある。それは大所帯アイドルグループについて、「どうせ」と言い切ってしまうが放送局が呼びたいのだからそこに異論は最早する気もない。こちらが観ずともそれ以上に観たい人間が多いと思っているのだろう、ならば勝手にすれば良い。その流れを遮ろうと英断するような真の〈阿呆〉は今どこにもいない。

 唯一難癖を付けるのならばその登場の仕方、狭い登場口からワラワラ出てくるあの画を観ると何だかなと思う。基本1アーティストにつきそこまで人数は多くない、よって登場口はそんな広い必要がないので登場部分が必然的にああなる。しかしながらあのワラワラ感はどうしてもプロ意識を感じられない、このあと登場!のような番組上の演出としてCM直前に何人かワラワラ出てくるのを観ただけでも何か良い気がしない。無論出てくる際にはカメラに向かって愛嬌をふりまけというような指示もあるだろう。

 最初から全員揃っていれば進行上早く済むが、それでは演出側から醍醐味が無いと言われてしまいそうである。こちらからすればそもそもあんなに大人数居る必要が無いと言いたいが、今のTVでそれは禁句だという空気が満ちている。何処の放送局にしても随分と威厳が失われたものだ。


 放送時間は11時間だったが、観たのは正味10分有るか無いかという感じ。特に忙しいという日でもなかったが、ザッピングで今誰が出ているのか一瞬確認して終わりというのかほぼ10分の中身。感想としては進行役で正社員としての給料しかないアナウンサーは本当に大変だなと思ったぐらいか。


 そして近々また別の放送局も似たような番組を放送、今度は〔1〕~〔4〕でいうところの〔3〕にあたる。アイドルを集めるだけ集めるとかやはりやることは平々凡々、元は東日本大震災復興の名目で番組が始まっているわけだが最早建前にしか感じない。(完)