【タイトル】
キテレツ大百科 ★SUPER BEST★
【アーティスト】
(various)
【リリース】
2004/1/21
【トラック】
[1]お嫁さんになってあげないゾ/守谷香
[2]マジカルBoy マジカルHeart/守谷香
[3]レースのカーディガン/坂上香織
[4]ボディーだけレディー/内田順子
[5]コロ助ROCK/内田順子
[6]夢みる時間/森恵
[7]フェルトのペンケース/森恵
[8]はじめてのチュウ/あんしんパパ
[9]メリーはただのともだち/藤田淑子
[10]すいみん不足/CHICKS
[11]お料理行進曲/YUKA
[12]HAPPY BIRTHDAY/YUKA
[13]うわさのキッス/TOKIO
[14]キテレツ大百科/堀江美都子
[15]コロ助まちをゆく/山田恭子
[16]キミと結婚したら!/藤田淑子
[17]ドキドキFRIENDLY/小山芙美
[18]コロ助ROCK'19/内田順子
[19]はじめてのチュウ (ニューヴァージョン)/あんしんパパ

【総合評価】3.4


 藤子・F・不二雄原作のアニメーション版CD。国民的アニメとなった「ドラえもん」とキャラクター構成がよく似ている点など比較されることもあるが、「キテレツ大百科」は単行本が僅か数冊で終わっているのでコミックはあまり知られていない。しかしアニメーションは実に8年も続きスペシャルもあった、無論再放送も何度あったことか。その放送期間の長さもあって収録曲がここまで多いのである。


 一覧したときに曲名で何となくピンと来る楽曲とそうでない楽曲が飛び飛びになっていて、更に意外と中盤~後半にかけての楽曲の方が知名度があったりする。[1][2]の守谷香に関しては検索すると別の事柄まで出てきてそちらに興味が向いてしまう、言っておいて何だがそこは深追いしない方が良いのかもしれない。


 これだけの楽曲がありながら今回の本題はただ1曲しかない、それは《CHICKS》の『すいみん不足』。作品の中で唯一の〈★5〉評価とした曲。

 まず小さな点からつついていくとアニメーションでは『スイミン不足』となっていたが、ここでは平仮名表記の『すいみん不足』に。そして楽曲を聴くとこの[CHICKS]というグループはバンドのような雰囲気が聴きとれる。

 ところがこの[CHICKS]、調べてみても情報がほとんど見つからない。あまりにも謎過ぎて番組制作関係者の身内ではないかという噂や、楽曲収録のために作られたいわゆる出来合いグループという噂もあった程なのだがどれも確たる証拠がない。一番の評価とした楽曲だけにどうしても気になったので、この謎にぶつかった時[CHICKS]について少しずつだが解明を試みる。

 まずこの『すいみん不足』には原曲が存在していた。原曲はアニメーション版よりも若干テンポが早く、明らかな相違としてサビ前の歌詞とサビ部分の歌詞が異なる。ざっくり言えばアニメーション版は何処か和やかであるが原曲は風刺的、度合いとしては痛烈とまでいかないものの恐らくアニメーション採用にあたり変更が行われたのだろう。原曲の歌詞ではちょっと暗すぎる。

 そしてバンドのビジュアルを確認したく探しているとそれらしき画像があった。見るとメンバーは全員女性、さらに情報を探すと「ギャルバンド」と書いてあるのが見つかった。「ギャルバンド」って何だよとツッコミたくはなるが、当時としては〈ナウい〉表現だったのか。

 最大の壁は音源。ここが見つかれば存在を示すのに決定的であったが、バンド単独での作品も見つからなければ他の楽曲すら見つからない。辛うじて『すいみん不足』が収録されたオムニバスアルバムが確認できたのが収穫で、一応見てとれたビジュアルと併せてバンド自体の存在だけは裏付けられた。

 [CHICKS]の存在がやっとうっすら見えてきた所で、そもそも何故採用されたのかという割と初歩的な疑問に出くわす。こればかりはどうにもこうにも解明の仕様がない、何処かツテがあったのだろうとしか思う他無い。


 「キテレツ大百科」がアニメーションとして放送開始されてから今年でちょうど30年となった。発明道具をそこまで覚えているわけでもなければ、最終回も何となくの記憶しかない。しかしながらよく観ていたという実感だけはある、個人的には「ドラえもん」よりもあるかもしれない。(完)