【タイトル】
Kiss ~a code de la mer~
【アーティスト】
岡村 孝子
【リリース】
1990/6/27
【トラック】
[1]心の草原
[2]終わらない夏
[3]Kiss
[4]満ち潮
[5]空の彼方まで
[6]青い日々
[7]あの海へ帰りたい ~a code de la mer~
[8]天使たちの詩
[9]adieu

【総合評価】3.3


 「《あみん》の…」言えばある世代以上には直ぐに理解してもらえるであろう。今も音楽活動は続いているので空白感はそこまでないはずではあるが、平成生まれは何とも微妙なところ。女性シンガー・ソングライターではあるあるだがTVのイメージとは違いラジオ番組では結構喋る。

 加藤晴子とのデュオで『待つわ』が代表曲の[あみん]は1983年に活動停止、その後1985年にソロとして活動を開始した。誰もが真っ先に思い浮かぶ『夢をあきらめないで』は1987年のソロ5枚目のシングル曲。


 今回の作品は6枚目のアルバム。何故この作品なのかと言われれば、単純にレンタル落ちをしていたから。無論ただぶっきらぼうに手に取ったのではなく、その名前を目にすれば気にはなってくる。[あみん]時代もソロ時代も代表曲の時期は早すぎて縁が無かった。だから不意にでも機会が訪れれば探求してみたくはなる。

 感想としては『夢をあきらめないで』のイメージをほぼそのまま持ってきたよう。当然というか作詞作曲は本人なので「枠」というものをはみ出したような楽曲は無い、誰かに楽曲提供を受けてその作りでは問題があるように思うがシンガー・ソングライターの場合は聴いた人間の受け止め方による。何気にハッキリとした個人評をはぐらかしているように聞こえそうではあるが、まぁその通りだと言って良い。

 もう少し突っ込むなら終盤に変化が出て、あぁいいなと思っていたらそこで全曲が終わってしまった。今の時代では正直9曲というのは満足できる楽曲数とは言えない。


 しかし、このアルバムよくよく調べると結構な作品だった。最終的なセールスは50万枚を超えオリコン週間1位を当然のように獲得、年間でも10位に入っているのである。もっと言えばこの前のアルバムも1位を獲得し、この後の作品でも1位を獲得している。

 単純にこの時本人に勢いがあった。この時代は著名な音楽家に楽曲提供を受けたシンガーやバンドがアルバムチャートのほとんどを占めるほど跋扈しており、シンガー・ソングライターはいわゆる大物クラスでないと押し退けて入ることは中々出来なかった。そんな中で年間トップ10に入るというのは一時の人気だけでは難しい。『夢をあきらめないで』からまだ3年しか経っていない事もあるが、精力的な楽曲制作と根強い人気が物を言ったのだろう。

 長い時代経過がいつしか作品プロフィールを隠し、事情を知らない当方はレンタル落ちしたこの作品を手に取った。何とも不思議な縁である。


 本人に関してイメージするのは某野球選手との結婚および離婚、名の知れた有力選手ではあったが当時は何故この選手なのかとも思った。案外これこそ岡村孝子を知る知らないのボーダーラインなのかもしれない。(完)