【タイトル】
The Definitive Collection [CD 1]
【アーティスト】
ABBA
【リリース】
2001/12/5
【トラック】
[1]People Need Love
[2]He Is Your Brother
[3]Ring Ring
[4]Love Isn't Easy (But It Sure Is Hard Enough)
[5]Waterloo
[6]Honey,Honey
[7]So Long
[8]I Do,I Do,I Do,I Do,I Do
[9]S.O.S
[10]Mamma Mia
[11]Fernando
[12]Dancing Queen
[13]Money,Money,Money
[14]Knowing Me,Knowing You
[15]The Name Of The Game
[16]Take A Chance On Me
[17]Eagle
[18]Summer Night City
[19]Chiquitita
[20]Does Your Mother Know

【総合評価】3.3


 存在を知らしめる部分では最早説明不要、スウェーデン出身の男女4人組グループ。当初長いグループ名だったのが、アグネッタ・ビョルン・ベニー・アンニの頭文字を取ってこのネーミングとなった。正式ロゴで2文字目の「B」が反転しているのが今見ても実に洒落ているが、表記する方としてはそう出来ない事が何とも煩わしい。因みにこの反転した頭文字はビョルンが自らここにあたるのではないかと述懐している。

 活動は1972年~1982年。忘れそうになるので先に説明しておくがこの作品はリリース年代順に並べられており、《CD 1》はデビューから1979年までの作品。


 活動期間は長いような短いようなどちらともとれるが、これだけ世界的になったバンド以外のグループとしては長く続いた方ではなかろうか。曲数も多いと言えば多い。

 今回の論点はその内容にある。紹介した作品名は正直うろ覚えでも構わない、何故なら[ABBA]関連のベストアルバムは『ABBA GOLD』をはじめ幾つもある。行けば少なくとも2つ以上の作品が置いてあって大体は楽曲リストを見比べて取捨選択することになる。

 この充実ぶりが裏を返せば懸念されるところで、1つでも聴いておけば「ABBAを丸々聴いた」感覚になってしまう。例えるなら栄養補助食品や健康飲料を摂取して、1日に必要な栄養素が全て満たされていると勘違いしてしまうようなもの。一度に補う意味では非常に有効だが、完全と言えるには確実に何かが足りていない。

 なので他のベストアルバムに手を出したところで結果はあまり変わらない。被っていない新たな楽曲を入手する事に意義はあるが、それでも上澄みは濃くない。解散後のアルバムは音源だけが独り歩きして当の本人たちが関わっていないので、はっきり言ってどの時期の作品も選曲センスがほぼ同じ。


 その結果が「ベタ中のベタ」を生み出す。詳しくは次回の《CD 2》の方に話を回すが、定番の楽曲を流すのは必要性が薄い。当時熱中していた世代やこれから[ABBA]を知るような中高生に向けて端緒になるものならまだ良いが、その上で他の楽曲にまで広げようとしないメディアのやり方は大問題である。ベストアルバムが沢山あるからあとは自分たちで何とかしろとでも言うのなら、手引きとして今においては不親切でしかない。昔ほど貪るように音楽に食らいつくような事が無いことを供給側も自覚しなければならないのである。


 そんなベストアルバム言えども取り敢えずは1枚でも触れてもらわなければ意味がない。どれでも何枚でも良いので全容を知った上でよく紹介される楽曲とそうでない楽曲のインパクトの差を少しでも縮めてもらう必要がある。そして「ABBAといえる楽曲は?」と聞かれた時に多くの楽曲が思い浮かぶ状況でなければならない、なければならないという表現にまで及ぶのは次回の評までお付き合いいただいて理解してもらう。具体的に楽曲に触れるのもそこで。(完)