【タイトル】
ロマンチスト・エゴイスト
【アーティスト】
ポルノグラフィティ
【リリース】
2000/3/8
【トラック】
[1]Jazz up
[2]Century Lovers
[3]ヒトリノ夜
[4]ライオン
[5]憂色 ~Love is you~
[6]Heart Beat
[7]マシンガントーク
[8]デッサン#1
[9]アポロ (New Apollo Project Version)
[10]ラビュー・ラビュー
[11]ジレンマ (How To Play “didgeridoo” Version)
[12]リビドー
[13]ロマンチスト エゴイスト

【総合評価】3.7


 1stアルバム。最初に断言してしまうが、この作品が高評価だったのはシングル曲がしっかり軸となって、アルバム曲が割と振りきったものに仕上がっていた点。そして最初に勢いをつけて最後にきっちりと締めた事、しかも締めの雰囲気をラストナンバーだけに限定出来ていた。

 作品内容としてはデビューからのシングル曲と結成からデビューするまでに作られた楽曲で構成されている。[ポルノグラフィティ]といえば3人もしくは今の2人のイメージがあるが、結成当時はドラムスを含めた4人体制。しかも1度ドラムスはメンバーが入れ替わった上にメジャーデビューする前に脱退したという話がある。


 流石に知名度があるので『アポロ』や『ヒトリノ夜』は皆メロディーが浮かぶとは思う。ただ、ここでこのアルバムを通らないと『アゲハ蝶』や『サウダージ』といったその後のシングル曲へイメージが飛んでしまう。これが少し勿体無い。

 確かにシングル作品に関してはどれも色をハッキリと出しており、ベストアルバムになれば多くの楽曲で直ぐにメロディーが出てくるあたり充実しているのが目に見える。だがそれ故にオリジナルアルバムでしか出していない部分を見落とす可能性がある。

 ここまで言うとこの作品が重要なようにも感じてくるが、重要とは形容しにくい。見落としてはいけないとも聴いてみるべきだとも思うが、シングルだけで満足する人間がいてもそれはそれで良いような気がする。


 一時期このバンドは毎年のように大晦日の音楽番組に出場していた。会社の力が作用しているのは薄々感じていたし、「何で今年も出ているの?」なんて言われることもあった。

 しかし毎年新曲をリリースした上で出場していたのであって、「穴埋め感」を出したのは他ならぬ音楽業界の不調と偏った取り上げ方ばかりをしたメディアが原因。ヒット曲を出していないのではなく、印象がついていないだけ。毎年毎年「大」がつくヒット曲を連発していたらそれこそ他の会社は出場枠を減らされている。そんな事情を一般人ですら今は判る状況になっており、露骨な推薦や賞賛は疑問や反感を招く。

 それでいえば[aiko]も結局そうだった、[ゴールデンボンバー]などは完全なる犠牲者。積み上げた実績があっての出場であり、その辺の「ゴリ推し」アーティストと同じ扱いにはしてほしくない。出場回数が多くてもベテランと言いにくいのも中途半端な立ち位置にしている原因だろう。


 作品の話に戻る。アルバム全体として『Jazz up』『Century Lovers』『マシンガントーク』『ジレンマ』『リビドー』『ロマンチスト エゴイスト』が個人評として中心楽曲。シングル曲が軸となり敢えてピックアップするまでもないというのが大きい。


 アーティストにもよるが「何だかんだ言って最初のアルバムが一番良い」という意見がある。間違いではないが、やはりそれは結果論に過ぎない。振り返るには一定の活動期間と多くのリリース作品がなければならない。そして我々一般は本当に日の目を見た一部に目や耳を通しているだけで、全体を俯瞰できたときは恐らくメディアを含め何て視野が狭いのかと思うであろう。こうして『偏食』している当方でもそう感じているくらいなのだから。(完)