【タイトル】
Process
【アーティスト】
dream
【リリース】
2002/2/14
【トラック】
[1]Prologue
[2]Yourself
[3]『パズル』
[4]solve
[5]New Days/Kana Tachibana
[6]destine
[7]Precious Heart/Yu Hasebe
[8]Our Time
[9]「Never More」/Mai Matsumuro
[10]SUBPAIN
[11]Answer
[12]願い
[13]Get Over
[14]Don't forget memory
[15]STAY ~now I'm here~ brilliant version

【総合評価】3.3


 松室麻衣・長谷部優・橘佳奈(Kana)というエイベックスのオーディションを勝ち抜いた3人により結成されたグループ。今でも同名のグループが存在するため「dream?Dream?」と混乱するかもしれないが名義上は《dream=Dream》と考えて問題ない。長い時間をかけたメンバー変遷があった上に所属先も変わったためこの時期の「dream」と今の「Dream」は別物となっている。この話は追々更に述べるが、個人的にはどうしても「ドリーム=dream」のイメージがある。


 デビューは2000年1月1日、今回のアルバムで多く作曲・編曲を手掛けた五十嵐充が[Every Little Thing]から脱退するのがこの数ヵ月後。因みに[dream]への楽曲提供のあとには[day after tomorrow]をプロデュースすることになる。

 エイベックスで言えば浜崎あゆみはアルバム『Duty』で大きく飛躍し、不動の地位へ足固めになるような年。同グループでは満島ひかりが在籍していた[Folder 5]がこの編成での[dream]と同時期に活動。


 そして今作が2ndアルバム。『solve』『Our Time』『STAY ~now I'm here~』『Get Over』『Yourself』とシングル曲は多いが、それを加味したとしてもボリュームは十分。収録シングル曲はいずれもオリコン10位以内に入らなかったが、アルバムは10位以内に入った。


 この作品には「如何にも」という要素がふんだんに入っている。まず当然ながら大半を手掛けた五十嵐充のサウンド、イントロや間奏は勿論サビ前にエレキが入る手法やサビの最後に音を抜く手法は[ELT]でも見られる。『New Days』での間奏部分と曲全体のアレンジは絶妙。

 そして『destine』作曲は織田哲郎。サビに向かうメロディの持っていき方とサビの感じが相川七瀬を思わせる。『SUBPAIN』では浜崎あゆみ楽曲の雰囲気を漂わせる、それもそのはず作曲は多くの浜崎楽曲の編曲を手掛けた[H∧L]の梅崎俊春、編曲は無論[H∧L]。

 そして2000年代に見られるのがタイトルがサビに出てこないところ、サビ以外の部分に出てくる場合も有るには有るが全体的にはほぼ無いと言っていい。お洒落といえばお洒落なのだが、一方で曲名を中々覚えてもらえないリスクもある。


 [dream]が[ELT]や[day after tomorrow]と違うのはヴォーカルが3人という点。この時期エイベックスはアレンジ中心としてかなりサウンドに力を注いでいるだけに、ここが非常に大きい。

 そして複数ヴォーカルの他グループと明らかに違うのは歌う側が積極的に楽曲制作に参加している事で、メンバーの松室麻衣がほとんどの作詞を手掛けている。「やってみよう」というレベルではなくもはや本格的に作る側の人間である、注釈としてそれぞれのソロ曲では各々が作詞を行っている。


 力の結集が実を結び、この作品で早くも本格化しつつあった[dream]。しかし、何事もそう上手く進むものではなくむしろ予期しない運命を辿っていくのである。詳しくは次回作品に続く。(完)