【タイトル】
PRESENTS
【アーティスト】
プリンセス・プリンセス
【リリース】
1994/9/1
【トラック】
[1]HIGHWAY STAR
[2]ソーロング、ドリーマー ('94 mix)
[3]友達のまま
[4]MELODY MELODY
[5]ROMANCIN' BLUE
[6]ユー・アー・マイ・スターシップ ('94 mix)
[7]だからハニー
[8]パパ
[9]STAY THERE
[10]ロマンス
[11]SHE
[12]傷跡
[13]悲しみのある風景
[14]THE SUMMER VACATION
[15]One
[16]DING DING

【総合評価】3.4


 バンド自体については最早語る必要もほとんど無い、現代の情報社会では「メジャー」どころについては山のように情報が積み上げられている。肝要なのはそれをスムーズに集めてよく知ることと、実際聴いて体感することにある。


 曲目の内容を理解してもらう前にこのバンドの前提を知ってもらう必要がある、それはメンバーの考えにベストアルバムの「観念」が存在しないことである。解散後にベストアルバムがリリースされている、何なら活動期間内にも内容的にそれではないかというアルバムも存在する。

 つまりはアルバムリリースは黙認しても、製作には関与していないということなのである。説明としてはややこしいが、とにかくベストアルバムという括り方を嫌がっている。しかしファンとしては纏めた作品を求めている、よってリリースすることには口を挟まないらしい。


 そして今回の作品がリリースされるにあたり参照すべき作品が『SINGLES 1987_1992』。前述の通りメンバーは関与せず関係者が纏めたもので、シングル曲にc/wながら人気が強かった『M』と新曲を収録した作品。

 この作品の収録楽曲を除外した上でファン投票を行いその結果をもとに作られたのが「PRESENTS」。このバンドはベストアルバムも忌避するだけではなくランキングも嫌がる、そのためあくまでランキング上位曲を中心に順不同でまとめたものと更に説明がややこしくなる。


 「PRESENTS」収録楽曲を見ても一般にはピンとこないのが普通。一応『だからハニー』『THE SUMMER VACATION』の2曲はシングルA面曲、ラジオなどで通であろうリスナーがリクエストした『パパ』は何度が聴いたことがある。

 その「PRESENTS」の音源を当方が所持している理由はレンタル落ちをしていたからという理由ただ1つ。恐らく作品のコンセプトから中々手を伸ばしにくく、そこがレンタル落ちになった要因だと思われるがそれにしても非情ではないか。


 作品全体としてはメジャー曲調が多いが、個人評としては『ROMANCIN' BLUE』や『ロマンス』といったマイナー曲調気味の方がいいアクセントになっている。『One』でしっとりと締めかかった空気を最後『DING DING』で弾けるあたりは流石。


 [プリンセス・プリンセス]を一から知る上では近年のベストアルバムで容易に音源入手が可能であり、当方としてもそこからを推奨する。ただし、代表曲が「シングル曲」であるから良い楽曲という考えは持たない方が良い。本人達からすればアルバムに繋げるための「先行曲」であり、他のアーティストよりも楽曲ごとのスタンスに差異が無い。「先行曲」が大事であることには間違いはないが。


 そして、この日に[プリンセス・プリンセス]を取り上げたのも当然意味がある。周知のごとく《3・11》復興支援のため期間限定で再結成し、最終的にはライブハウスの完成に至った。継続した支援も無論必要ではあるが、1つ形として結実すべく活動するというのもあってしかるべきだと考える。実際問題支援する側から提案があっても自治体とのマッチングがうまくいって受け入れられるとは限らない、それを考えると数年間で実現し何も求めず去っていくあたり実にカッコいい。それを思うとやはりレンタル落ちは何処か納得いかない。(完)