先日の小室哲哉引退会見と一連の報道について。安室奈美恵の引退発表のような衝撃は無く、何となく消化不良が否めない。驚きがあったのは事実だが、その前の週刊誌記事と発表後のTVを中心としたマスコミのワチャワチャ感が否が応でも尾を引いている。最初は当人も含め各方面にそれぞれ違う意味合いで「許せない」と思った、時が経つと自意識の何処かで変に収束したものの結局は治まりきらないという後味の悪さたるや。


 まず小室哲哉本人。「一連の騒動のけじめ」として引退するというのが腑に落ちない。週刊誌報道と引退が直結していないのは言われなくとも分かっている、そもそも内容に興味がない。そして自身の体調や妻KEIKOの介助という事に同情する点にも意見する気は無い。

 問題は「能力の枯渇」という点。期日に間に合わなくなる事があったと述べていたから音楽人生で有り得なかった事が起きている、そこに本人が一番衝撃を受けているのが大きい。ただ、それで正直「何を言っているんだ」と思うとともに本人の頬をペシペシと叩きたくなった。もがいてみろと到底言える立場ではないが、力を振り絞って作品を昇華させた上で退くとか徐々にスピードを落とす事は出来なかったのか。

 残酷な話をすれば全盛の[globe]が戻ってくることは可能性として低い、薄々気付いていても僅かに希望が有ることで誰も言おうとしないからこの場で自分が言い切った。今他に言えるのは当ブログの所持音源で[globe]作品のみでも約1ヶ月にわたり取り上げることが出来る、しかしこのタイミングではただの回顧になるので絶対に行わない、[globe]は何らかの形で戻ってくると思っているという事。


 そして報道を扱ったメディア。会見を本人の感情まで勝手に事細かく読み取ろうとするのは野暮だとは思うが内容を伝えること自体は大事、しかし本人のいないところで議論してもそれはただの感想の言い合いではないのか。

 更に報道をした週刊誌の責任問題についても、報道・編集・出版に関わった人物が議論に参加していない以上意味がない。そんなに一般市民の意見をぶつけたいのなら関係者を呼び出して吊し上げるくらいの実行力を持て。

 一番呆れたのはそんな報道と「小室作品の好きな曲ランキング」をセットにした某局。色々意見しておきながら結局過去を振り返っている、凄さを伝えようとしたのだろうが当然ながらどの曲も知名度があるので内容は薄い。一応まともな意見をするパネラーを入れておきながら、番組・局としては幼稚な内容。もはや笑ってしまう。

 視聴者をはじめとする一般の人間が、芸能人を消しているという発言もあった。それは一理あるが、では同じような内容を連日報道して一般視聴者を煽っているのはどこの誰かと聞きたくもなる。当の放送局は知らないふりをするだけ。


 音楽的に一番の重罪は最も勢いのあった頃の映像や音楽しか扱っていないこと。[globe]で見ても一般の人間では恐らく90年代の楽曲で止まっているはず。楽曲数は確かに多いが実のところそこは[globe]の第1期、大きく分けたとしても前期に過ぎないのである。ぶっちゃけYOSHIKIが加入していた[globe extreme]は何だったのだろうと思うところはあるが、そこも含めて[globe]の歴史。


 とにかく報道はもういい、小室哲哉本人に引退を撤回するくらいの作る情熱が戻ってきてほしいと願うだけである。音楽家に引退宣言する必要など無い。(完)