【タイトル】
Dearest
【アーティスト】
和久井 映見
【リリース】
1996/1/26
【トラック】
[1]離れても ―Introduction―
[2]いつか忘れましょう
[3]コスモスの咲く道
[4]Living In The Town
[5]ひとり旅
[6]海辺の休日
[7]Sweet Sweet Holiday
[8]毎日 会いたい ―album mix―
[9]遠い空に
[10]HOPE ―新しい未来のために―
[11]忘れないで

【総合評価】3.1


 前回『なぜ愛してるふりをするの』は3rdアルバム、ちょうど4年経って今回は9thアルバム。ベストアルバムも含め、こんなに出ているのに今日までほぼ誰も触れず知られていない事は驚愕せざるを得ない。前回も述べたが歌手としての露出がほとんど無い、俳優業と歌手一体どういう「わらじの履き方」だったのか。歌手としては1997年頃まで活動し、その後しれっと歌手という肩書は消えた事になっているので今となっては過去の話になってしまうのだが。

 『なぜ愛してるふりをするの』は全体的に切ないというか重かった。加えて曲の仕上がり方と20歳過ぎたばかりの歌唱が何とも合っていない、女優として通る道だったとしてもハードルが高過ぎる。歌謡曲路線で今時のオーディションを勝ち抜いた人間がやるような本格仕様。


 そして今回。前回より重々しさは幾分無くなった印象はある、しかし軽減された部分を補うような新たな特長が見えてこない。作り手が変わって、それによりスタイルも再構築されていればと思ったが正直変わったようには思えない。何より本人の歌唱に全く変化が無い、声は相変わらず綺麗なので結局良いのか悪いのかよく分からなくなる。

 そんな中『HOPE』を聴くと直感で他の曲と違うのが判った。大体そう感じた時はシンガー・ソングライターが手掛けている場合が多い、こういう事を聴き取るのは才能ではなくただ片っ端から聴いてきた経験がモノを言う。そして確認すると[篠原美也子]の名、あぁ成程と思った一方でまた閲覧者の方々に説明しづらい…と頭をもたげる。ローカルでラジオ番組を持っていたのでこちらとしては知り合いを見かけたような感覚になるのだが、まず伝わらないだろうなと悲観的に考えてしまう。少し調べてもらって、音源を聴く機会があれば聴いてみてほしいとしか言い様がない。何曲か聴けば『HOPE』も何となくピンとくる。


 そもそも前回といい今回といい、和久井映見のCDが何処にあるのかという問いかけが聞こえてきそうである。「―album mix―」と書かれてもシングルを知らないと言われればごもっとも。正直レンタル店では作品が普通に無い可能性が高い、当方が探したときはベストアルバムすら無く見事に全滅した。どういう経緯で入手したのかと言えば中古CDも扱う店舗の閉店セール、ここぞとばかりに存じ上げないアーティストのオンパレードの中で発見したものである。因みに加藤紀子のアルバムもそこからだったと記憶している(評54)。

 探すにしては数は多くないだろうが、希少という形でプレミアがつくことはCDに関してはあまり起きないのが現状。ましてセールスが芳しいものでは無かった時は尚更、和久井映見の場合は…詮索はあまりしないでほしい。


 男女問わず和久井映見が好きだ!もしくは好きです!という方なら作品を探し求めても良いとは思う。楽曲として求めるのは奨めない、あくまで純粋に歌声が聴いてみたいという方に当ブログとしては限らせていただく。歌声としては一般にイメージしているような声がそのまま出てくるので、歌手のイメージが無かった方には発見といえるだろう。(完)