【タイトル】
なぜ愛してるふりをするの
【アーティスト】
和久井 映見
【リリース】
1992/1/25
【トラック】
[1]わかっているわ、ダーリン (アルバム・バージョン)
[2]逢いたかった
[3]なぜ愛してるふりをするの?
[4]情熱
[5]雨の日に電話して
[6]拒めると思った
[7]ことりのテーマ
[8]あなたを想う夜のソネット

【総合評価】3.1


 どの世代でも押し並べて知名度がある、主役脇役問わないことを踏まえれば日本を代表すると言って良い女優。超個人的には好みとして3本の指に入る、私情は私情なので評価には反映できないが。


 今回の問題は歌手としての活動が知られているのかどうか。当ブログでは高橋由美子(評25)、内田有紀(評80・81)と女優系を取り上げてきたがこの辺は出発がアイドル要素を含んでいたのでまだ歌手のイメージもなくはない。平成生まれにはピンとこないかもしれないが昭和から平成に変わる世代より前なら覚えてはいるだろう。

 和久井映見は1970年生まれだが、平成に入る直前から役者として活動を始め少し遅れて歌手活動も開始している。CDはリリースしているが大々的な宣伝も無ければ基本ライブもしない。TVやイベントで歌うこともほとんど無かったので、何処まで力を入れたかったのかが分からない。


 ただし楽曲に関しては至って真面目。あの康珍化が作詞を行い、作曲も本格的。編曲には[Wink]作品で知られる門倉聡を全曲に起用し、中には本人作詞の楽曲もある。

 その結果どうなったか。歌詞に情感が滲み出すぎてJ-popの要素がほとんど感じ取れない、グイグイに歌謡曲寄り。曲に関しても完璧と言える仕上がりが余計そうさせてしまった。全体としては結構重たい。J-pop寄りにする気など最初から無かったのかもしれないが、にしてもこれで良かったのか。

 よくよく考えてほしい、この時和久井本人は20歳過ぎたばかりの女子である。その年代に歌わせるような作品とは言いにくい上に、技量が正直追いついていない。そもそもこれで歌い上げるようであれば歌手を本業としていくべき。


 特に前半がかなり切ない、そこまでの入りをせずとも良いような気がする。『雨の日に電話して』で急に軽くなってその後は何処かフワフワした印象で終わる、フワフワといってもそこに軽さはあまり無い。はっきり良かったと感じたのは歌唱が本人の声そのままだったこと、歌手と見るならばそれはどうかと思えなくもないが。


 因みにこの作品は3rdアルバム、何と既に2枚リリースされているのである。今回8曲と決して多くない収録数ではあるが、聴いた感想としては長く感じたのが正直なところ。

 他に言いたいこともあるが、次回も和久井映見作品を続ける。続けると言いつつ自分でもこのあとどう評を展開していけば話が落ち着くか先が見えていない。(完)