年末においてもJASRACの話題は事欠かない、相変わらずTVでの扱いは小さく尚且つ能天気。問題をスルーしている時点でTV局もJASRAC側の味方と言わざるを得ない。卑しい話、大手TV局が寝返れば著作権管理改革が進むような気がするのだが残念ながらその気配が全く無い。


 去年から表面化し問題となった「音楽教室への著作権徴収」問題。簡単に言うと『演奏権』が及ぶのか及ばないのかという案件、これが音楽教室でも発生するとしてJASRACは徴収を決定し音楽教室側はあくまで教育目的で非営利だとして真っ向から対立。徴収が有効になるとJASRACに1銭も支払いたくない場合は著作権の切れた楽曲を使うしかないのである。大方の予想通り訴訟にまで発展し現在も係争中。

 そんな中でJASRACは今年1月1日から音楽教室からの徴収を開始すると一方的に発表。これに大手音楽教室や大手楽器店から成る団体が文化庁に保留を申請。結果から言えば今のところ徴収は為されていない。


 そもそも当ブログでこの問題を取り上げたのは半年も前、それでいて協議が全く進展しなかったのである。半ば勝手に徴収に向け進めてきた一方で協議を延ばし延ばしにして時間稼ぎをしていた事がはっきりしたため、音楽教室側は協議に応じようとしていないとして文化庁に申し立てた。文化庁がJASRACに協議に応じるよう命じ、12月初旬に2度協議が行われたらしいがJASRACが音楽教室側の主張を全く受け入れず成果無しに終わった模様。その後の流れは先程述べた通り。

 実はJASRACは相手側の主張を受け入れないどころか、切り崩しまで行っていた。徴収を発表した一方で、早めに応じた音楽教室には徴収額を割り引くという策を講じていた。離間ともいえる戦術でそういう意味では強かではあるが、シェア100%近い言わば大企業のやり方としては極めてセコい。何と言われようがJASRACは全く怯まない、徴収額を増やすことに執念を燃やしている。


 『演奏権』というのも難しい権利で、一昔前であれば音楽教室は子供の習い事として権利の及ばない聖域だった。これが近年成人が趣味として習い始めるとなれば見方は少しずれ、線引きするにもグレーゾーンが生じてくる。

 そして習うからには自前の楽器も必要ということで購入する場合も出てくる、割引の有無は別として音楽教室と契約した楽器店から購入するという流れにもなる可能性はある。そうすると非営利ではないと言えなくもない。

 それらを踏まえたとしても中立の立場で意見するのは専門家でない限り難しい。洋画音楽の著作権徴収もそうだがJASRACは世界の流れ・時代の流れに合わせることを建前に非常に急な決め方をする。大体の話において、前々からそういう構想はあったとし業界団体にも働きかけはしていたと主張するが最後は強固な反対を強引に押しきるだけ。批判されようがネットで叩かれようが肥大化した巨人は突進し続ける。


 TVはここ最近、無益な報道ばかり。「国技」の話など時が経てば結末が見えるにも関わらずどうなるこうなると予想ばかりしている。国際情勢は説明できる人間に任せっきり、芸能の話は意味なく加熱してはっきりいってどうでもいい。もう少しでオリンピックの話題で持ちきりになる可能性があるのでそれまでに何とかしてほしいが、まぁ無理だろう。(完)