【タイトル】
BEST OF SOUL
【アーティスト】
BoA
【リリース】
2005/2/2
【トラック】
[1]LISTEN TO MY HEART
[2]ID:Peace B
[3]Amazing Kiss
[4]気持ちはつたわる
[5]Every Heart ―ミンナノキモチ―
[6]VALENTI
[7]奇蹟
[8]NO.1
[9]JEWEL SONG
[10]Shine We Are!
[11]DOUBLE
[12]Rock With You
[13]QUINCY
[14]コノヨノシルシ
[15]メリクリ
[16]LA・LA・LA LOVE SONG

【総合評価】3.7


 1986年生、韓国出身の歌手BoA。わざわざ言う必要もあるのかとは思ったが、リリースから10年以上経っていることもあり世代によっては認知度の差が既に生じている可能性がある。後々考察はするが露出も一時期よりは減少している。

 日本でのデビューが2001年、出身よりも何よりも年齢がかなり若い。最初こそトークは勿論歌も若干たどたどしい部分はあったが、若かっただけあって順応も早かった。一部メンバーが対応すれば良いグループとは違いニコニコしているだけにはいかないが、逆に日本語で対等にトークが出来ると重宝される。

 アルバム内容については文句のつけようがない。軒並みタイアップに乗ったシングル曲がずらっと並んでおり余程疎くなければ知らない曲はほぼ無い、これ以上になくちょうど脂の乗りきった作品。補足としてはこのベストアルバムは準完全版であり、初回限定盤は完全網羅となる。


   BoAが日本で活動している間にも何かと母国との距離が不安定だった。政治と結び付くことはあってはならないのだが、国と国の関係が冷えきると門戸がいとも簡単に狭められた。逆に行き過ぎた過熱は偏向とアンチテーゼの増幅を生じさせる。早い話が明らかな「寄り」と「アンチ」が増える、しかも後々「寄り」は簡単に消えるが「アンチ」は中々消えない。

 その時期に関してはBoAは変わらなかった。この作品の後に全米デビューや、母国での活動などで露出は減ったものの日本でのリリースは毎年続いた。母国で日本に対するイベントに出演した事を日本側のネットでリークされているが、正直それを反故にした方が何を言われるかわからないのがお国柄。


 個人的にK―popの範疇に丸々入るとは思えないのだが、長いこと活動しているせいか如何にもという感じがあまりしなかった所が何より大きいのかもしれない。

 ただしK―popブームが起きたときは話が別。BoAにK―pop要素が割合薄いのが災いしたのか、とにかく入る余地など隙間も無かった。どちらかと言えば先駆の方なので便乗は望まないが、それでも再び露出が増えてほしかったような気はする。

 「向こう」の事情もあるが、とにかく一部のアーティストが残る以外ブームは数年で終焉。よくよく見ると色々あった間にアーティストだけではなく芸能界全体から韓国出身の人間が減っていた。その事に関しては喜ばしいとも残念とも思っていない、振り回したのか振り回されたのかコロコロ反応が変わるくせに敏感肌のごとくかぶれるメディアにただただ失望しただけである。それだけの事をしれっと行えるのなら【芸人/モデル/ハーフタレント】も世間の声をよく聞いて剪定でもしたらどうか。


 BoAの話に戻る。日本デビュー以降2012年を除いて毎年シングル曲をリリースしていたが、2015年を最後に新曲は出ておらず日本のメディア出演もほとんど無い。30歳を過ぎたが、言い方を変えればまだ30代である。一緒に共演していた芸能人もCDを聴いていた一般人も記憶を消し去るほど軽薄ではない、皆が待ってはいるのである。メディアの心境は知らない、知りたくもない。


 今回の作品は前期ベストアルバムといったところ、既述通りこの後も暫くシングル曲のリリースは続きほとんどに何らかのタイアップが付いてくる。会社のプッシュにせよ高い採用率が表すように各曲のメリハリがついているのも魅力である。(完)