【タイトル】
DEEP RIVER
【アーティスト】
宇多田 ヒカル
【リリース】
2002/6/19
【トラック】
[1]SAKURAドロップス
[2]traveling
[3]幸せになろう
[4]Deep River
[5]Letters
[6]プレイ・ボール
[7]東京NIGHTS
[8]A.S.A.P.
[9]嘘みたいな I Love You
[10]FINAL DISTANCE
[11]bridge (Interlude)
[12]光

【総合評価】3.7


 3rdアルバム、これも300万枚を超え3作連続で年間1位を獲得した。1stアルバムが700万枚超、2ndアルバムが500万枚弱という数字からするとかなり落ちたように見えるが単なる感覚の麻痺に過ぎない。今でなくともこの数字はとんでもないという範疇に入る。


 この作品はリリース直後に購入したと記憶しているが、何をもって購入の決め手となったかが分からない。周りの影響では無いことは確かだが、恐らくは『traveling』及び『光』の先行シングルにCMで流れていた『Letters』が気になって購入したのかもしれない。なぜ断定が出来ないのかといえばこの3曲の中に★5評価が無いからである。

 それでもアルバムの中から『東京NIGHTS』が★5評価となった。前回の『蹴っ飛ばせ!』もそうだがシングルA面にならないのはやはり何処か勿体無い気がする。そんな感想を持っていたにしても、そもそも宇多田ヒカルくらいになればシングル曲の流れで明らかな変化を必要としないらしいというのが見える。つまり、出すシングル曲それぞれがその前や後のシングルに影響を及ぼさない。どのアーティストもそうかと思いきや、意外とそうでもなく実は皆少しは気にしている兆候がある。


 『幸せになろう』『プレイ・ボール』『A.S.A.P.』『嘘みたいな I Love You』と他にも粒ぞろいで聴きごたえのある曲が多く、まとまりとしては前回(前作)の「Distance」よりも隙が無い。ただ、タイトル曲の『Deep River』の印象が弱かった。もしかするとそういう「静」の楽曲が大事で当方が気付いていないだけかもしれないが。


 力を入れているのか、それたけの余裕があったのか歌詞カードの紙が光沢があって厚い。歌詞カードと表現するよりも小冊子といったところか。いくら内容が充実したアルバムCDでも、歌詞カードが薄っぺらいだとかガッサガサの素材だったりすると落胆するもの。地図のように1枚の紙でパタパタと畳むタイプも多少煩わしい、遊び心だということは分かるが折り目からシワがつきやすい。

 そして歌詞以外の表記がない。作詞/作曲/編曲や収録参加メンバーなど、付記するかどうかは当然ながら制作側の裁量で規定はない。本当に入れなければならない事項は大抵最後の方にまとめて付記してあるが、自分は作詞/作曲/編曲はせめて付記してほしいと思っている。全てを同じ人間が手掛けたにしても最初の楽曲一覧の所に小さくても良いから入れておいてほしい。これはささやかな願い。


 宇多田ヒカルのオリジナルアルバムは活動休止までの5作品全てでミリオン超え、当然とは限らないのに当然と思ってしまう。この華々しい実績を以て海外へ挑むことになるのだが…それはまた次回に続く。(完)