【タイトル】
Beautiful Energy
【アーティスト】
女子十二楽坊
【リリース】
2003/7/24
【トラック】
[1]奇跡
[2]自由
[3]世界に一つだけの花
[4]香格里拉
[5]五拍 (Take Five)
[6]川の流れのように
[7]女児夢
[8]阿拉木汗
[9]劉三姐
[10]ラブストーリーは突然に
[11]山水
[12]七拍
[13]紫禁城
[14]無詞 (No Words)
[15]地上の星

【総合評価】3.6


 大ヒットしたのでベタとも思ったが既にリリースから10年以上経つ、ということはブームからも同じ年月が経っている。そう考えると中高生あたりは既に馴染みがなく、今は知らぬまま何気なく聴いている可能性がある。一発屋とは言えないが結果的に一過性であったことは否定できない、それでも日本に財産を残したのも事実である。


 概要としては二胡、琵琶、楊琴、笛など伝統楽器を使ってありとあらゆる音楽を演奏する中国の女性音楽グループ。十二楽坊とあるがそれは縁起の良い数字を用いたためで、メンバーは12人というわけではなくむしろそれより多い。

 これも一種のフュージョン音楽と言えるのかもしれない、音楽の種類を問わずアレンジが利くのはその現れであり尚且つ決して原曲を壊す事もない。日本の楽曲に関しては受け入れやすくするため正直カヴァーの意味合いが強くなってしまったが。


 功績として大きかったのがいわゆる中華系BGMの寄与。それまで同じようなBGMのローテーションで多少古くなっていたこの分野に新しく流れ込んだ音楽は洒落た雰囲気まで生み出すことになり、今では女子十二楽坊のCD数枚あれば事足りる。同じBGMの常連でも「COWBOY BEBOP」シリーズとは知られ方が違う。


 今になって気付いたのだがCDを改めてみると付録の冊子が驚くほどに薄い。しかも内容は少しのライナーノーツと写真つきのメンバー一覧だけで各曲の解説が一切無し。今更問い詰める事でも無いとは思うが、少し詰めが甘い。


 「ワールドミュージック」の風化速度が遅いという利点を活かし楽曲の定着は成功した。しかし、本人達は日本からあっという間に去っていった。その後もメンバーの入れ替えながら活動を継続していたが、日本でのプロモーションを請け負っていた会社は活動展開と人気の時差を読み違え数年で経営破綻に追い込まれた。日本が島国であることを忘れてはならない、国外に出ると人気も「圏外」になる事は決して珍しくないのである。


 今考えると1990年代はまだブームという感じがしたが、2000年代以降はスパンが長くないせいか一時的な発熱のような印象。今回の女子十二楽坊は少し異なるが日本の音楽は時々海外からの風に浮かされる、ブームではなく浮かされている。ある時は「タトゥー(t.A.T.u. )」にセンセーショナルで浮かされ、またある時は「O-Zone」に浮かされた。この流れでいくとK―popも問われそうだがそれはまた別の話になってくる、議題として今はあまり気が進まない。


 CDの中身にほとんど触れなかったが個人的推薦としては『七拍』を挙げておく。(完)