【タイトル】
グレイテスト・ヒッツ
【アーティスト】
The Nolans
【リリース】
1990/4/21
【トラック】
[1]ダンシング・シスター
[2]アテンション・トゥ・ミー
[3]やさしくラヴ・ミー
[4]恋のハッピー・デート
[5]ドント・メイク・ウェイヴス
[6]セクシー・ミュージック
[7]サンキュー・フォー・ザ・ミュージック
[8]ドラゴンフライ
[9]夏は16才
[10]ときめきトゥエンティ
[11]あこがれアイ・アイ・アイ
[12]タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング
[13]クラッシング・ダウン
[14]スピリット,ボディ・アンド・ソウル

【総合評価】3.2


 ノーランズ(The Nolans)はアイルランド出身の姉妹グループ、主にイギリスで1970年代から活動し1980年代に全盛を迎えている。

 元々は両親も含めたファミリー規模の歌手活動であった。アン/デニス/マリー(モリーン)/リンダ/バンナデット(バーニー)/コリーンの6姉妹の中で前身「The Nolan Sisters」時代はコリーン以外の5人。デニスが脱退し「The Nolans」と改称。アンが一時期脱退したとき入れ替わりでコリーンが加入しており、活動時期で日本で見られる4人の時はおそらくこの構成。その後メンバー脱退や姉妹以外からメンバーが加わるなどし、2005年の解散まで全ての期間在籍していたのはモリーンだけ。2009年には再結成をしているが、バーニーが2013年に逝去している。


 トラックは今回ライナーノーツ付歌詞カード通りの邦題表記をそのまま引用したのだが、何処か統一感が無い。元の原題をそのまま邦題にしたものと、当時日本でリリースするために意訳した邦題が混ざっている。代表曲『ダンシング・シスター』の原題は「I'm in the Mood for Dancing」、原題はサビを聴けば分かるしノーランズを知らしめるべく付けたタイトルとしてはまだ納得はいく。

 ただ[9]~[11]あたりはよく理解できない。何故に「トゥエンティ」と「16才」が同居しているのか、しかも『夏は16才』と聞いてもどういうこと?と聞き返したくなる。翻訳された歌詞を見てもタイトルと直結しない。

 で、ライナーノーツを見ると解説者もよく解らないという答え。こういうことは実は珍しくなく今更変更するわけにもいかないので時効と言えば時効、当時の洋楽における邦題の付け方は突き詰めてみると結構いい加減だったりする。


 『ダンシング・シスター』に追随するようなインパクトを他の曲に期待したのだが、期待した成果はあまり得られなかったというのが個人評。

 そんな中で此処にはカヴァー曲と被カヴァー曲がある。カヴァーされたのは『恋のハッピー・デート』(石野真子)と『セクシー・ミュージック』(Wink)、この時期のカヴァーとしては良い線だったと思うがそれ以降にカヴァーがあまり見られていないあたりもう少し余地があったのではなかろうか。

 そして『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』はABBA、『タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング』はダイアナ・ロスからカヴァー。特に『サンキュー・フォー・ザ・ミュージック』はイントロから本家とメロディがほぼ同じなので歌唱もそうなると思ったが、結果としてはノーランズの方が明らかに若さを感じる一方そのあと聴き直した時の本家ABBAの円熟さたるや。そもそもノーランズには男性コーラスがいないのですぐ見分けはつく。ノーランズを聴いたのに改めてABBAの多大な影響力を思い知らされる、どちらにしろ今回一番の収穫であり個人的にも推薦する。


 因みにノーランズとほぼ同時代のアイルランド出身歌手として[U2]が挙げられる。U2を取り上げるべく音源を入手しようとした時期が何度かあったが、いずれも別の洋楽アルバムが目に入ってしまい見送ったため未だに入手出来ていない事を思い出す。(完)