【タイトル】
Tomorrow
【アーティスト】
岡本 真夜
【リリース】
2012/3/7
【トラック】
[1]Sunrise ~Prologue~
[2]365日のLove song
[3]TOMORROW ~明日の君へ~
[4]約束
[5]Message ~明日の僕へ~
[6]One Love,One Smile
[7]I believe ~Unplugged Version~
[8]if…
[9]Happy Life ~明日に向かって~
[10]Moonlight ~Epilogue~

【総合評価】3.3


 14枚目のアルバム。前々回の評を仕上げて更新してから、結構な情報を今回の前フリのように出してしまった事に気付く。いざ出てきてしまうと仕込みがあったように思われるが本当に他意は無く、ただのミスであることを認めざるを得ない。ともかく解説は進めていく。

 まず全体の感想として岡本真夜のアルバムなのだが何処か別人のよう。しばらく考えて結論が出た、これは古内東子である。古内東子と言ってまた説明が増えそうではあるが端的に岡本真夜と同じく90年代を代表するシンガー・ソングライターであり同世代。あくまで古内東子のような岡本真夜である、多少ややこしい表現だが。


 そしてセルフカヴァーが3曲。『TOMORROW』は東日本大震災の被災地支援の一環、前々回脱却の話までしたがこれはこれ。そして『Message ~明日の僕へ~』は波瑠への提供、今や飛ぶ鳥を落とす勢いだがこの頃(リリースは2008年)は知っている人は知っていて知らない人はまだ知らない。そして波瑠唯一のCD。

 『Happy Life ~明日に向かって~』は同郷である島崎和歌子への提供。リリースが2009年、本人には申し訳ないが普通に考えればリリースする理由が見当たらない。真相は昼のドラマに主役として抜擢され主題歌も担当することになったため、一瞬あぁ成程と思ったが島崎和歌子が主役という重ね重ね本人には申し訳ないが意外である。

 昼ドラ枠は今や地上波からは消滅、いわゆるほのぼの系ドラマもかなり減った。削減の波は2時間ドラマまでに波及しますます主題歌やエンディングテーマとして起用される場面は少なくなる。そして懐かしむ一方で知らない世代もこれから増えていく、シンガー・ソングライターとしてはかなり辛い状況。


 春の高校野球いわゆる「センバツ」がこの時期のため岡本真夜が『TOMORROW』をテレビ出演で歌うことが今もある。1年前も歌っていた、呼ぶのは大いに結構だが肝心の歌唱が何とも言い難い。もうこちらが苦しくなるくらいに一杯一杯、思わず見ていられなくなった。たまたまコンディションが良くなかったのか、プロならコンディションくらい整えて…と言いたくなりそうではあるがそれは素人が口出しすべきではない。

 残酷ではあるがこれが時の流れなのだなと思った。岡本真夜の楽曲は時に落ち着いたものもあるが基本どの曲も一音一音声がパッと張っている、特に出だしが出ないとその後が厳しい。作曲も自ら行うのだからそれはその時の自分の技量を大きく活かすだろう、まさか10年や20年後のパフォーマンスを計算しているわけはない。

 再び本人をテレビで観ることがあれば「あの時」のコンディションから回復していることを切に願う、もし変わりが無いようであればそれを直に受け入れる。そして責任は呼んだ側にある。


 今現在オリジナルアルバムはこの作品が最後である、その後から現在まで本人も色々あった。今後どういう活動のスタンスをとるのか、少なくともライターとしてはむしろこれからではというのが図々しくも個人的な見解。シンガーとしては本人が判断する事でこちらからは何も言う事はない、ただ応援するのみである。(完)