スマートフォンに変えた事による音楽環境の変化というものはそれと言ってほとんど無い。唯一便利というかあって困らないアプリをインストールしたのが変化だろうか。


 それが『シャザム(Shazam)』である。ダウンロード数から見るに知らない方はあまりいないかもしれない、簡単に説明すれば周囲に流れる音楽を認識して検索してくれるアプリである。個人的には「着メロ」が全盛の頃に実用化してほしかったような気もするが、そこまで時差に後悔していないので次に進む。

 アプリを紹介する際「街中で流れる音楽を…」という説明が入るものが有る、正直街中ではそこまで利用機会は無い。強いて言うならば中古CDを主に扱う店である、店舗にもよるが結構な割合でそこをつくかという選曲をしてくるために使用する。


 よってシャザムを使用するのは自家用の機器、単刀直入にラジオが主でたまにテレビでも使う。そして3つの状況にて使用。

《1》途中から聴いた音楽
 紹介を聴き逃した時に使う、何て事はない。最近は今流れている楽曲を公式ホームページに表示する放送局もあるので常にアプリが必要という話でもない。

《2》フィラー(Filler)
 CMフィラーとも。異なった放送局におけるCM時の時間差を埋めるために流されるもの。ネットする放送局が多い番組ではメインスポンサー以外のCMは各放送局それぞれの編成、仮にローカルCMが無いもしくは少ない放送局が次の本放送まで何もせず無音状態が続けば「事故」である。フィラーはそれを防ぐための音楽、流れとしては(有れば)【CM】→(必要な放送局は)【フィラー】→【ジングル】→【本放送】となる。

 このフィラーが中々の曲者で、気になっても誰に聞けば解決するのか分からない。例えば「知恵袋」的なサイトで質問しても住む地域によって流れる時間が違うので、その事実さえも知らない人間が必ずいる。無論パーソナリティーが答える事もほとんど無い。ラジオ好きの掲示板に書き込みが存在する場合もあるが聴取率の高い(高かった)番組がほとんど。

 そこでシャザムに頼ってみるのだが、それでも成功率は高くない。洋楽系は割と強かったりするが本来歌詞がつく邦楽のインストにはあまり強くない。邦楽で時代が遡ると更に太刀打ち出来なかったりもする、そこは日本の気質とは異なるものとして理解するしかない。

《3》試験電波
 更にマニアック、大体は放送終了後の放送局が簡単なメンテナンスがてら音楽を流す場合。放送編成上多いのは FM、テレビでは定点カメラ映像や天気予報を映しながら音楽を流す。テストトーンと呼ばれる「ピー音」やテレビ画面の「カラーバー」も試験電波、雑音混じりの中国のラジオが聴こえてきたりテレビ画面の「砂嵐」の時は『完全停波』。無音状態でも実は停波していなかったりもする。
 因みに公共放送の放送終了時に国歌「君が代」を流すのは普段からラジオを聴く人間なら知っておいてほしい情報、テレビなら日の丸がはためく映像もセット。

 テレビでもラジオでも試験電波の発射は一部地域。今は『radiko』などで日本全国のラジオを聴けるが流石に試験電波を目的とした聴き方は普通はしないだろう。自分の住む地域はたまたま遭遇する機会が多く、そもそも日本全国当たり前のものだと思っていた。
 当然ながらテレビでも放送局それぞれで対応が違う、公共放送では大型の台風が日本を通過する日の深夜に定点カメラから見る荒れた海の中継映像や台風進路図などを表示しながらバックで音楽を流しており個人的にはこれが好きだったりする。

 試験電波におけるシャザムの使用実績としてはフィラーよりかは成功率は幾分高い。

 以上シャザムの使用機会、主な3パターン。おまけとして加えるとすればもう一つ、録音・録画した番組のBGMを調べる時くらいか。


 閲覧して感じた方もいるかも知れないが、タイトルに付けておきながら正直シャザムの重要性は冒頭の話で済んだ。知らない曲の調べ方から話が入って「フィラー」や「試験電波」の存在を知ってもらいつつ話をずらし、『あるある』として少しでも共感を得ればもうその時点で主題の伝達として完遂している。地域によってはそれらがほぼ無縁であり無益に感じてしまう可能性がある、その方には長話を大変申し訳ないとしか言いようがない。
 要は教養としての音楽を究めるには何処からでも拾う必要があるという事、しかも最初は意識的でもゆくゆくは日常的な習慣としてである。シャザムはその補助ツールを成す。(完)