【タイトル】
笛社会
【アーティスト】
栗コーダーカルテット
【リリース】
2007/6/6
【トラック】
[1]ベルニナ急行食堂
[2]おじいさんの11ヶ月
[3]アップ・ア・オン・ムーンヒル
   ~桂林を下って月の丘に昇る~
[4]カントリーマーチ
[5]ご近所世界一周
[6]落穂拾い
[7]ホテル ラサール1986
[8]午前3時の動物園
[9]夢のエキスポパイプ
[10]シェルピンスキーのカーペット
[11]帰り道
[12]オールドロッキングチェア

【総合評価】3.4


 前回の『ウクレレ栗コーダー』の翌年にリリース、オリジナルということでカウントすれば5枚目になる。

 アルバム自体は一般の大衆まで関心が中々届かないようでオリコン200位にも入っていない。過熱が高まった時期で尚且つ収録曲も有名曲のカヴァーが多い『ウクレレ栗コーダー』でさえオリコン100位台、こちらはインストゥルメンタルとしては躍進と言えるのかもしれないが。


 『ウクレレ栗コーダー』とリリースが1年しか違わないにも関わらずオリコン順位に明らかな差が表れた。一時期の過熱ぶりが過ぎ去った事もそうだが、大きな理由は楽曲だろう。今作品は全てオリジナル楽曲で見てもピンとこない、だからそれなりの理由がないと手は伸びるはずも無い。

 しかし実際聴いてみると何処かで聴いたような楽曲が数曲ある、それはこの作品からもBGMとしての採用がみられるためである。ここが今回紹介する意味としても大きい。


 実は個人評として最初に聴いた際の評価はそこまで高くなかった。それが2回目に聴くと当初の印象と違う、結果上方修正を行う事となった。このような事はほとんど無いのだが、この場合は要するに一通り聴いたぐらいでは「咀嚼」したことにならないのだろう。意識して聴くよりも普段から何気なく聴くには適する。

 それを踏まえれば「試聴」というのも活用する手ではある、自分はレンタルや中古での購入に後悔を持たない事を些細なポリシーとしているため試聴はほぼしない。しかし試聴機を設置している店舗ではそこに躊躇う理由は無い、むしろポップスよりもインストゥルメンタルの方が利用する意味も利益も大きいのではなかろうか。


 栗コーダーカルテットといえば基本的にメンバーは皆ウクレレとリコーダー以外にも様々な楽器を扱うことが出来る、当たり前と言われたらそうかもしれないがそのため個々の活動も忙しいらしい。2015年にはメンバーの1人が両立の困難を理由に脱退し現在は3人となっている。


 前回も今回も入手時期から言えば当時の音源。今は『ウクレレ栗コーダー2』も有れば更に15周年、20周年の区切りでそれぞれベスト盤がリリースされている。何処から入っても無論十分ではある、『笛社会』はそこに厚みを持たせる作品である。(完)