先日放送された番組の感想。本当はテレビ番組に関してとやかく言いたくはない、一応音楽番組で多少期待を持って観たので文句の一つでも言わせてほしい。


 番組の内容は長い年月の中でオリコン1位を獲得した曲だけを扱うというもの、スタジオにゲストを結構な人数呼んで当時の秘話などを語るという有りがちと言えば有りがちな番組。その趣旨については特に言うことはない。

 まずざっと50年の音楽史を振り返るという事を宣伝しておきながら放送時間は4時間。この時点で全てをさらっとですら紹介する気は無いなと察する。そしてゲストゾーンが設けられているのだから各年代ピックアップするにしてもどう考えても時間が足りない。始まる前から嫌な予感。


 放送が始まってみると結構割愛はあるが、それでも急いでいる感じはそこまで無い。ゲストが懐かしめなのでトーク部分が前半から割と入る、勉強だと思えば参考になる音源も多い。一方でほぼ見えた展開、そういうことか。

 で、案の定90年代あたりからかなり扱いが粗くなる。酷いのは2000年代以降で2010年以降などは論外、結局数曲のみ紹介してさっさとエンディング。

 自社で放送されたドラマの主題歌を贔屓するのはまだ目をつぶるにしても、後は『癒着』と『おべっか』を露骨に表し都合の悪いところは使わないというチキンぶり。要は「あのグループ」や「あの作り手」を贔屓して、「あのグループ」は使うのを止めておこうという感じ。また、昨年のレコード大賞に絡んで起きた一悶着を何も反省しておらずただただ愚かでしかない。


 これは推測だが、現場レベルではどうしようもなかったのかもしれない。「構成はこうで、ここはこれくらいの時間を取って…」などと上からの指示があればゲストが少ない近年の必要性が薄くなる、加えて「このアーティストの曲は必ず使って」なんて指定が入れば制作側の選曲の余地などほぼ無い。よって編集の段階で終盤がほとんど時間は取れず腑抜けたものになった。


 こんな中途半端になるくらいなら、ここの放送局がたまに半日を使って放送する音楽番組を利用して余すことなく紹介すれば良いのではないか。下手に長丁場をただ真面目にやるくらいならそういうコーナーを挟んでおけば間延びせずに済む。そんな事は放送局に直接意見しろと言われそうだが、そんな意見を採用するほどの良心は恐らくない。巨大メディア故の弊害である。


 4時間で数十年を一気に振り返った割には所々過度な配慮が見えて内容が濃いとは到底思えなかった、しかもよく考えれば何故改編期でもない平日の放送だったのか。テレビ関係者を気取れば映像や音源といい放送枠といい勿体無い使い方だったと思う。(完)