日本でいま急増している多発性硬化症をはじめ、リウマチ関節炎やアトピーや、自己免疫疾患。

体を守るよう腸でしっかり訓練されているはずの免疫細胞が「暴走」し、免疫系が自分の体の組織を攻撃してしまう「自己免疫疾患」と呼ばれるという異常が、現代人の間に急増しています。

多発性硬化症は、免疫細胞が暴走して脳の細胞を攻撃してしまうという難病で、手足のしびれから始まり、症状が進むと歩行困難や失明などのおそれもあります。

 



最新研究によって、自己免疫疾患の患者さんの便を調べてみたところ、ある特定の種類の腸内細菌が少なくなっていることが突き止められました。

人間の腸内にいる腸内細菌はおよそ1000種類、100兆個以上とも言われています。

その中で、今回取材した重症のアレルギーと、多発性硬化症、異なる2つの病気に共通して減少していた腸内細菌がありました。

それが「クロストリジウム菌」という腸内細菌の仲間です。

およそ100種類いると言われるクロストリジウム菌の中で、ある種類が少なくなっていることが、どうやら「免疫細胞の暴走」と深く関わっているらしいのです。

いま世界の研究者が大注目しています。

患者さんの腸内で減少していたクロストリジウム菌という腸内細菌は、腸の中で何をしているのでしょうか。

その謎を解く鍵は、免疫研究の世界的権威、大阪大学特任教授の坂口志文さんが発見した「特別な免疫細胞」にありました。

 



これまで免疫細胞と言えば、外敵を攻撃するのが役目と思われていましたが、坂口さんが新たに発見された免疫細胞は、その逆。

むしろ仲間の免疫細胞の過剰な攻撃を抑える役割を持つことが突き止められました。

その免疫細胞は、「Tレグ(制御性T細胞)」と名付けられています。

免疫細胞の中には、「攻撃役」だけでなく、いわば「ブレーキ役」も存在していたのです。

このTレグの働きで、全身の各所で過剰に活性化し暴走している免疫細胞がなだめられ、アレルギーや自己免疫疾患が抑えられていることがわかってきました。

 

なんとそんな大事なTレグが、腸内細菌の一種であるクロストリジウム菌の働きによって、私たちの腸でつくり出されていることが、最新研究で明らかになってきました。

クロストリジウム菌は、私たちの腸内の「食物繊維」をエサとして食べ、「酪酸」と呼ばれる物質を盛んに放出します。

この物質、実は腸に集結する免疫細胞に「落ちついて!」というメッセージを伝える役割を担っています。

クロストリジウム菌が出した酪酸が、腸の壁を通って、その内側にいる免疫細胞に受け取られると、Tレグへと変身するのです。

もし腸内でクロストリジウム菌が出す酪酸が少なくなると、Tレグも適正に生み出されなくなると考えられます。

腸内でクロストリジウム菌が明らかに少なくなっていた、あの重症のアレルギー患者さんや、多発性硬化症の患者さんは、腸内でTレグを生み出す働きが弱くなっている可能性が考えられます。

 



どうすればTレグを増やせるのか。

そのヒントが、理化学研究所の大野博司博士が発表した驚きの研究結果によって示されました。

なんと、「食物繊維」がカギになると言うのです。

大野さんは実験で、クロストリジウム菌が腸内にたくさんいるマウスを2つのグループに分け、一方のグループには食物繊維が少ないエサを、もう一方のグループには食物繊維たっぷりのエサを与え続けました。

すると、食物繊維たっぷりのエサを与えたマウスの腸内では、食物繊維が少ないエサを与えたマウスに比べて、Tレグがおよそ2倍も多く生み出されることがわかりました。

つまりクロストリジウム菌は、エサである食物繊維を多く食べるほど盛んに「酪酸」を放出し、それによって腸でたくさんのTレグを生み出すことが確かめられたのです。


食物繊維はお通じをよくする効果などがよく知られていますが、実は日本人にとって太古の昔からとてもつながりの深いものだと言われています。

日本人は、古くは縄文時代の狩猟採集生活のころから、ふんだんにとれた木の実やキノコなどから多くの食物繊維をとってきたと考えられます。

その後も日本の食卓によくのぼる海藻や根菜などは、いずれも食物繊維がたっぷり。

そのため日本人の腸内には、長い時の流れの中で、食物繊維を好んでエサにするクロストリジウム菌などの腸内細菌が多く住み着くようになったと考えられています。(海藻を分解することが出来る腸内細菌などは、日本人の腸に特有のものとして知られています。)

最近の研究で、腸内細菌研究の世界的権威・服部正平さんが、欧米など世界11か国と日本の健康な人の腸内細菌を詳しく比較したところ、驚くべきことがわかりました。

日本人の腸内細菌は、食物繊維などを食べて「酪酸」など“免疫力をコントロールするような物質”を出す能力が、他の国の人の腸内細菌よりずば抜けて高かったのです。

つまり私たち日本人の腸には、「鉄壁の免疫力」を生み出す潜在能力が、誰にでも受け継がれていると考えられます。

ところが、とくに戦後日本人の食生活は大きく欧米的な食生活へと変化し、食物繊維の摂取量も減ってきています。

そうした急激な食の変化に、長い時間をかけて日本人の腸と腸内細菌が築き上げてきた関係性が対応しきれず、アレルギーや自己免疫疾患など「免疫の暴走」を増加させるような異変の一因となっている可能性が、研究者たちによって注目され始めているのです。


私(木下晴哉)は食物繊維を摂っていても、Tレグ細胞が増えない人もいると考えています。

腸と感情は深いつながりがあり、外側からのわずかなストレスを受けたり、自らがストレスをつくりだしたりするだけでも、腸の働きは弱まります。

外側からのストレスだけではなく、自分を責めすぎてしまう人、他人を責めすぎてしまう人、自己否定の強い人、自分に厳しすぎる人、自分を許すことができない人、他人を許すことができない人、気持ちの切り替えがうまくできない人などは、内臓に緊張状態をつくりだしてしまうために、腸の働きが弱まり、食物繊維を摂っていても、腸の吸収能力が弱まりTレグ細胞は増えません。

Tレグ細胞を増やすためには、「食物繊維を摂る+心のケア」が大切だと思います。

ストレスを感じたときに、体に意識を向けて、からだのどの部分に緊張が生じるのか、体のどの部分に違和感を感じるのか、呼吸はどのように変化しているのかということに気づくようにしてみるとよいでしょう。

そして、内臓や筋肉が硬直しているなあ、緊張しているなあと感じたら、意識的にその部分をゆるめてみましょう。

意識的に体をゆるめるだけで、心も同時にゆるみます。

大きな問題だと悩んでいたことが、小さな問題に感じられるようになったり、どちらでもよくなったり、気にしなくなったりします。

体が本来の状態、自然なゆるみのある状態に戻れば、心は体から解放され、心本来の働きをするようになります。

 

真気ヒーリング養成講座のなかで、からだを本来の状態に戻す方法、からだを自然なゆるみのある状態にする方法を教えています。

 

心と体の絶妙なバランス(心が崩れると、体も崩れる)

 


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