藤原宮に御宇(あめのしたしろしめす)
天皇の代(みよ)
高天原(たかまのはらの)広野姫(ひろのひめの)天皇、
元年丁亥、十一年軽太子(かるのひつぎのみこ)に位を譲りたまふ。
尊号を太上天皇(おほきすめらのみこと)と曰ふ。


天皇の御製歌(おほみうた)


0028春過ぎて 夏来(きた)るらし 白栲(しろたへ)の 衣乾(ほ)したり 天(あま)の香具山
持統天皇


【折口信夫訳】春がすんで、今夏が來ついたに違ひない。眞白な栲の衣を乾してあるのが見える。天の香具山の邊で。


【愚訳案】
春が過ぎて 夏が来たらしい
天の香具山で
白い衣を干しているよ


●原文
藤原宮御宇天皇代 高天原広野姫天皇、元年丁亥、十一年譲位軽太子 。尊号太上天皇。【持統】

春過而 夏来良之 白妙能 衣乾有 天之香来山