きょう一月七日は人日の節句です。

いわゆる五節句のうち、月日がぞろ目にならないのは人日の節句だけですね。後は三月三日(桃の節句)、五月五日(端午の節句)、七月七日(七夕)、九月九日(重陽の節句)と、いずれもぞろ目です。また、五節句にはいずれもゆかりの深い草花がありますね。桃の節句はそのまま桃、端午の節句は菖蒲、七夕は笹、重陽の節句は菊です。

では、人日の節句はというと、春の七草が知られています。「せり、なずな、ごぎょう、はこべら、ほとけのざ、すずな、すずしろ、これぞ七草」なんていう憶えるための歌もあります。何だかよく分らないような草ばっかりですが、せりはそのまま芹、はこべらはハコベのこと、なずなはペンペン草、すずなは蕪、すずしろは大根・・・・・・と聞くと、馴染み深いですよね。それでも、ごぎょうは母子草、ほとけのざは田平子といわれても・・・・・・いまいちピンときません(笑)

この春の七草を粥にして食べると健康でいられるというのも、よく知られていることでしょう。最近はスーパーでもセットで売っていたり、飲食店では季節限定メニューになっているところもあるそうです。しかし本来は、春の訪れを告げるこれらの若草を食べてその生命力を取り入れ、冬の間に衰えた力を回復する(=厄を祓う)という、もう少し深い意味があったようです。もちろん旧暦がベースになった風習ですから、今の時期にはそぐわない(春というには早い)面もありますが、昔の人はこのように季節の節目(節句)ごとに厄払いをしていたんだなあと考えさせられます。

最後に、百人一首にもある光孝天皇の御製を
ご紹介いたしましょう。

君がため春の野に出でて若菜つむ
わが衣手に雪は降りつつ

この若菜が七草そのままかどうかは、残念ながら分りません。しかし、早い春で、雪が降りつづける中を、「君」のためを思って若菜をつんでいる、どこか優しげな、そんな情景が浮びます。


(ごんねぎ)