新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)全面的勝訴判決の御報告と御礼 | 新宿区ホームレス生活保護裁判を支える会blog

新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)全面的勝訴判決の御報告と御礼

新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)弁護団の戸舘です。

昨日、2011年11月8日、東京地裁民事第2部(川神裕裁判長)は、①新宿区福祉事務所長のした生活保護却下決定の取消し、②居宅保護の方法による生活保護開始決定の義務付け、を命じる原告の請求をほぼ全部認める全面的勝訴判決を言渡しました。

2008年7月7日の提訴以来、合計14回の口頭弁論期日、緊急一時保護センター、自立支援センター、無料低額宿泊所等の施設での進行協議期日、相談を担当した福祉事務所職員の証人尋問、申請同行した支援者の証人尋問、元都内福祉事務所査察指導員の生活保護研究者の証人尋問など、慎重な審理を経ての全面勝訴判決でした。

本件訴訟は、ホームレス状態にあった原告(当時57歳)が、ホームレス総合相談ネットワークの相談会をきっかけとして新宿区福祉事務所に居宅保護を求めて生活保護申請をしたところ、新宿区福祉事務所の職員から自立支援システムの利用等を執拗にすすめられ、原告がこれを拒否したところ「稼働能力不活用」(生活保護法4条1項)を理由に3度にわたり却下されたことから、却下処分の取り消しと生活保護開始決定の義務付けを求めて提訴した事件です。

東京地裁は、生活保護法の基本理念に立ち返り、原告が本件申請当時に置かれていた具体的状況を踏まえて、「その利用し得る能力を、その最低限度の維持のために活用すること」(法4条1項)という要件を充足していたと判断し、新宿区福祉事務所長の却下処分を取り消し、保護の開始を義務付けました。


ホームレス状態にある方の生活保護に関して稼働能力活用要件(生活保護法4条1項)が争われた裁判は、名古屋の林訴訟が先例としてありますが、本判決は、林訴訟判決(第一審、控訴審)で示された考え方を生存権保障の方向にさらに前進させたものと評価できます。

判決のさらなる分析と評価はこれからすすめていきますが、今の段階では、被告新宿区に控訴させないための運動が重要と考えております。

本訴訟をすすめていくにあたり多くの方々からご支援いただきました。毎回の期日にも多数の方が傍聴にいらしていただき大法廷をほぼ満席にすることができました。
心より御礼申し上げます。

新宿区ホームレス生活保護裁判(新宿七夕訴訟)弁護団一同