どこに消えたのか渋谷区の「ネーミングライツ」 | 未来を語る新宿老人党

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2013.11.14 

 そもそも「ネーミングライツビジネス」とは 

1980年代以降 、米国で主にスポーツ 施設 スポンサー 企業 社名 やブランド名を付けるビジネスが流行った。

・日本では、2003年に「味の素スタジアム 」(5年間契約で、12億円)が誕生し、福岡ソフトバンクホークス の本拠地「福岡ドーム 」が「ヤフードーム」になった。その際、かつて「グリーンスタジアム神戸」を「ヤフーBBスタジアム」に名称変更したことが逆目になって、短期間で「GS神戸」に戻している。

・横浜市の国際競技場は、「日産スタジアム」に変更(契約条件;5年間、総額235千万円)された。

・競技場だけでなく、東京都の「国際フォーラム・ガラス棟」が最近「貴え金属・化粧品メーカーのシャネル」にネーミング権が売られ(契約条件;1年契約、26千万円)いる。

・さらに全国の自治体が関与する事業として、県有林やバス停留場、鉄道駅名、科学館など数々ある。


 「公共施設」での「ネーミングライツ」ビジネスは「危険性が高い」 

公共施設の名称が、短期間に変更されることはマチガイだ。かつて渋谷区での積極的な「ネーミングライツ販売」が話題を呼んだ。区役所横の「渋谷公会堂」が「CCレモンホール」となり、建物の正面にC.C.レモン の大きな看板が掲げられた。この命名権は2006 (平成18年)101 からの5年間を契約期間とし、売却額は計42,000万円であった。この背景には、「維持費」を求めた渋谷区と、高い宣伝性を求めた企業のニーズが合致したのであろう。ところが、5年後にサントリー側から「契約更新しない」と通告され、元の「渋谷公会堂」に戻った。迷惑を受けたのは、利用者・区民であり、地図会社、チケット業者などであろう。公共施設の名称は変更されないものと考えるのがフツーのヒトの考えだが、企業側の勝手な事情で簡単に変更される。これは「行政の立場」から見れば、「危険性が高い」となる。

・わずか数年で施設名が変わってしまうというのは、区民にとっては『迷惑』で、『施設への親しみが持てない』という声もある。自治体が建設した、つまり税金が投入された公共施設を、特定企業の広告に利用することを快しとしない見方もある。

・特に、対象となる施設が古く歴史あるものである場合、市民は施設または施設名に強い愛着を持っている人が多く、市民感情は複雑だ。


 「ナイキ公園」では「企業ニーズ」と「桑原区長の思惑」が隔たっていた失敗のケース 

宮下公園が世界的スポーツシューズメーカーの「ナイキ公園」となった。それは民間事業者の「運動施設づくり」であって、「区民にむけた公園づくり」ではなかった。でも、渋谷区はまず当時タムロしていた野宿者の排除にシッチャキになり、垣根を造り、入居を拒絶した。

・なお、ナイキの狙いは実は「ストリートバスケ」が流行らせようと、渋谷センター街や恵比寿駅周辺で「デモ実演」したり、「ナイキ公園にフットサルコート」を造ったり、「美竹公園にジョーダンコート」を寄付したり、さまざまな話題造りを謀った。

・ただし、もともとナイキは南米の工場での低賃金が問題視されたこともあり、「世界的なスポーツ・文化貢献企業」イメージを重視していた。そこで、「宮下公園の住人追い出し」は企業イメージに合わないとしてサッサと撤退を決めた。そこで、「契約料は支払うが、ナイキの名称変更は撤回」した。


 いま、「宮下公園」からの「住民追い出し」の狙いは不明 

・だから、渋谷区の「宮下公園改修計画」自体の見直しが求められる状況になった。ところが、渋谷区では昨年暮れに「宮下公園からの住人追い出し」を謀り、テレビでも取り上げられた。

・堀切稔仁氏(渋谷区議)のブログによると、「宮下公園野宿者排除問題については役所の中で私が都市環境委員会での説明を求めましたところ、『委員長から委員会審議はしない』、『都市環境委員会に当事者、支援者などから、行政への委員会聴取を求めないから』らしいとのこと。堀切氏も私もこれだけ全国的に人権問題として注目されているのに議会が取り上げないのは問題であると思う。

・しかも、元々の話題の主「ナイキ」は世界的なイメージを損なうとしてすでに「降りて」いる。だから「フットサルコート・スケートボード・ロッククライミング」などの施設は、区民の要望ではなく、ナイキ計画に沿ったものだ。すなわち、改めて区民の総合意見を聴き、「区民のための公園づくり」検討が前提であるべきだ。

・いま渋谷区は「排除」以外のことはやっていない。本来なら、「人権に配慮し保護、自立、病気の治療、などを行なうべきだろうが、暮れに夜襲をかけて排除するといった、「行政上の目的」を隠して姑息な謀略戦術に出ている。