朝宮&土山茶産地巡り~土山編~ |  心樹庵 おちゃこよみ

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 奈良の古い街並みが今も残る“ならまち”で日本茶と
中国茶の専門店を開いています。

悠久の都~奈良から大好きなお茶の魅力を発信して
いきます。



さすが茶生産地、乗用型摘採機も一般車両の範疇なのですね(゜д゜;)

先週の朝宮茶に続き、同じく滋賀県の土山という産地のご紹介です。三重県に近い位置にあります。

2015年は、霜や4月の急激な気温上昇により、滋味、特に旨味のしっかりのったお茶になかなか出会えませんでした。
その中で、旨味系煎茶の王道をいくようなお茶だったのが、土山の前野さんが作るやぶきた。
窒素系の旨味が強いだけではもたれますが、爽やかな香りもしっかりとあって、煎も効き、まさに理想的な甘い煎茶でした。
自然環境相手の中では、その年に高品質なお茶でも毎年高レベルでいくことはなかなかありません。それが当たり前のことなので、今年はどうかな~とサンプルを飲んだところ、

よいではないですか~!ヾ(@^▽^@)ノ

長いスパンでみたらやはり違いはでるでしょうが、ブレないお茶を作る人だな…と感じたのでした。

今回お会いして改めてお話を伺うと、お茶に対するブレのない姿勢がヒシヒシと伝わって、なるほどなるほどの納得でした。





前野さんは自分たちと同世代の方で、お話しするとびっくりするくらい謙虚、そしてきれい好き♪
工場の中も前日まで2茶を作ってたとは思えないほどクリーン!
オフシーズンには高い天井にまで登って張り付きながら掃除をされるのだとか…気を付けてくださ~い!
でも自分の作るお茶はこういうスタイル。というのが一本びしっと筋が通っていて、それを作るための栽培管理や製法にはいささかの手抜かりもありません。
だからこそ、毎年安定感のあるお茶を作れるのでしょう。

さらに前野さんが良い茶を作られるには、土地に恵まれていることも不可欠な要素だと思いました。
土山は滋賀県ナンバー1の大産地ですが、多くは昭和の時代にパイロット事業で山を削って広げた団地と呼ばれるような茶畑で作られます。
冬季の冷え込みは厳しく、年間の降雨量もかなり多いそうで水はけのよくない地域では苦戦することも珍しくないとのこと。

ですが、前野さんの畑は…



神社の奥。神様に守られていた!
というのも一つ理由にあるでしょうが(^▽^;)、ヒミツは土壌にありました。

この神社の東側は植木鉢のように下部分は砂質、上部分は有機物たっぷり、天然の栄養満点の黒ボク土が2メートルくらいの厚みをもっており、そこに茶樹がしっかりと根を張っているのです。
昔からこのすぐそばを流れる野洲川流域は優れたお茶を作るといわれていたようですが、神社の西側は同様の地層でも黒ボク土が薄くなり、そうなると生育状況も異なるそうです。



この畑のやぶきたの樹齢は25~30年ほどですが、5,6年に一度は更新と言って太い幹を刈り樹勢が落ちないように管理しています。
こういった手間を惜しまぬことで美味しいお茶は作られています。
土山は全国的にはなかなか知られていない茶産地ですが、前野さんのお茶、ぜひ一度飲んでみてください♪
シンガポールのお客様も思わずリピする美味さですo(^▽^)o




この後、近くにある焙じ茶のスペシャリストのお店に立ち寄りました。その名も『焙楽』。



焙じ茶=焙じ番茶だけではないのが、ここの店。
ありとあらゆる原料に合わせた“絶妙な”焙煎が施されています。




土山煎茶、棒茶、茎茶、釜炒り茶etc…
新茶の風味を失なわず且つ焙じの香ばしさが楽しめるお茶なんて(もう完売だそうですが)ここだけなんじゃ?
そのマッチングの妙味、焙煎の技、なのにこの価格⁈(お菓子と合わせて324円くらいだったような…)
ぜひ行ってみてほしいお店です。