真珠のため息 -4ページ目

ありがとう

ただ、溢れ出してこぼれ落ちてしまった言葉たち

少しずつ、君が拾い集めてくれたおかげで、少しラクになれたよ

答えなんて出ないけど…
一人で何でも抱えてしまう私には、君がただそこで聞いてくれているだけでうれしかったよ


ありがとう

忘れちゃいけない

勘がずば抜けてぃい

だけど、これで得したことなんて一つもない
一番知りたいことなんて、ぁたしの感なんかじゃわかんない
年々、臆病でずる賢くなってくばっかり

勘がいいせいなのか、わからないけど…
誰かの心の揺れが、ぁたしの心にも、すぐ移ってしまう
だから、感情がすぐに乱れてしまう

そのせいで、小さい時からなるべく心の扉に隙間ができないようにしてきた
心を開いたふりをして、一番奥のその扉を必死で守ってきてるのだ

常に冷静で、いつでも笑っていられるように

でも、それはギリギリの均衡のもとに保たれているだ
ぁたしは、それを忘れちゃいけないんだ

オレンジ③

コールが2回も鳴り終わらないうに、その誰よりも愛しい声が聞こえた。
どうしても、最後に聞いておきたい、何度も俺を救ってくれたその声。
『……はぃ??……悠くん…?…っゆぅ…くんでしょぉ』


受話器の前の俺ゎ黙っているしかしなかった。今、向こう側で泣いている南菜子に何か言ってやることゎできなかった。

それでも、しばらく電話を切れずにいた。
南菜子は『俺が、今どこにいるのか?』と泣いた。
でも、そこからは言葉にならなかったんだろぅ。受話器から、泣き声が途切れ途切れに聞こえてた。
最後に南菜子は、黙ったままの俺に一言…ほとんど聞き取れないくらいの小さな声で、『ぁぃたぃょ』と呟いた。
その小さな声は、俺の全ての決意を壊してしまうほどの力があって、急いで受話器を下ろした。

走るように電車に乗った。
最後に『さようなら』を言ってやることさえ出来なかった。
『ありがとう』を言うつもりだった…けど、今の俺ゎ何も言うことができなかった。

でも、俺たちこれでおわじゃないんだよ
なぁ、南菜子?
俺たち、またどこかで出会えると思わないか?





『さよなら』と言えば
君の傷も少しは癒えるだろう
『会いたいょ』と泣いた声が今も胸に響いている


人波の中でいつの日か
偶然に出会えることがあるのなら
その日まで…

『さよなら』
僕を今日まで支え続けてくれた人
『さよなら』
今でも誰より大切だと思える人

そして何より二人がここで共に過ごしたこの日々を

隣にいてくれた事を僕は忘れはしないだろう


さよなら…
消えないように
ずっと 色褪せぬように

『ありがとう…』