今年度も真人幼稚園の先生方による絵本の紹介をおこなってまいります。これは年間1~2冊の絵本をそれぞれが書店などで選び、教職員同士で読み聞かせをしたり、それぞれ絵本を選んだ理由や見どころなどを発表し合う、教員研修の一環としておこなっている取り組みです。そこで紹介された作品をぜひ皆様のご家庭にもお勧めしたいという願いから、例年2学期末にこのような形で発表させていただいております。
さあ、今年はどんな絵本が選ばれたのでしょうか? それぞれ作品を選んだ先生がブック・レビューを書いていますので、それらを参考になさって、この冬はぜひ親子で絵本に親しんでみてはいかがでしょうか。なお、それぞれの作品は園の図書に収蔵され、さっそく貸し出しをおこなっています。
『おもちのおふろ』
苅田澄子 作 植垣歩子 絵 Gakken
(池田和先生のレビュー)
おもちのもーちゃんとちーちゃんがお風呂屋さんに出かけます。着いたところは“ぽかぽかのゆ”。ぽかぽかのゆには色々なお風呂があり、順番に見ていくと・・・「しょうゆのあしゆ」、「きな粉の砂風呂」など、ユーモア溢れるお風呂ばかりで私も入ってみたいなと楽しい気持ちにさせてくれました。文章だけではなく、ページごとの絵も細かく描かれていますし、これからの寒い季節に温かくなるような絵本ですので、ぜひお手に取って読んでみてください。
『ライオンのくにのネズミ』
さかとくみ雪 作・絵 中央公論新社
(鈴木有咲先生のレビュー)
パパの仕事の都合でネズミの国からライオンの国へ引っ越したネズミ。ライオンの国では何もかもが大きくてみんなライオン語を話していて何もかもが怖くて仕方ありません。
これから環境が変わったり、言葉も体の大きさも性格も違う様々な友だちに出会う子どもたち。「きっとこうなんだろうな」と決めつけたり思い込んだりするのではなく、広い視野を持って過ごしてくれたら嬉しいです。子どもだけではなく大人も読んで気付かされることが多い一冊です。ぜひお手に取って読んでみてください。
『グランド・フィーリング・ホテル』
リディア・ブランコヴィッチ 作 tuperatupera 訳 東京書籍
(中川梨華先生のレビュー)
皆様ようこそお待ちしておりました!! ここは色々な“オキモチ様”が泊まりに来てくれるホテル。その名も「グランド・フィーリング・ホテル」。泊まりに来てくれる“オキモチ様”たちはみんなとてもユニーク。そんな“オキモチ様”に合わせて支配人がおもてなしをします。支配人は何を必要とされているのかきちんと聞いて理解することが大切な仕事。そんな支配人も忙しくてパニックになる時も・・・。そんな時は“カンシャ様”と過ごし、一緒に深呼吸すると、ここがどれだけ自分にとって大切な場所かということを思い出すことが出来ます。支配人が“オキモチ様”の話をよく聞いて理解することや、“オキモチ様”に助けられていることは私も同じで、子どもたちに沢山助けられているな~と思います。毎日、暇な日なんて一日もないけれど、一日として同じ日はないということを忘れずに過ごしていきたいと思います。
そんなこの絵本は読めば読むほど自分の気持ちや感情などと向き合うことができ、子どもも大人も癒される本となっています。ぜひお時間のある際にお子さんと一緒に読んでいただきたいです♪。
『かいじゅうのすむしま』
谷口智則 作・絵 アリス館
(佐藤美樹先生のレビュー)
先入観や思い込みで、人や物事を見てしまうことはありませんか。
あるところにかいじゅうの住む島がありましたが、かいじゅうは島のみんなから怖がられていたので、ひっそりと身を潜めて住んでいました。住民たちは大雨が降るのも、島がゴミで汚れるのも、ミサイルが飛び交い争いが起こるのも、全てかいじゅうの仕業だと思い込んでいましたが、本当はかいじゅうが陰で人知れず島を守ってくれていたのでした。ある日、飛んでくるミサイルを自分の体で受け止めた後、静かに倒れたかいじゅう。争いを防ぐものがいなくなった島とかいじゅうはどうなってしまうのか・・・。自分の見たいものを、見たいように都合よく見てしまっていないか、物事の本当の価値を見逃していないかを、かいじゅうの姿を通して考えさせられる一冊です。
『おなかのなかのだいそうげん』
神尾茉莉 作 アリス館
(圓山陽菜先生のレビュー)
この絵本はご飯を食べたらお腹の中はどうなっているんだろう・・・と子どもたちの想像力が広がる一冊となっています。ページを開くたびにワクワクしたり、絵本に描いてない物も子どもたち同士で話すことが出来ると思います。また、刺繡を使って物語を表現している目新しい絵本になっています。絵と違ってゆったり見ることもできると思います。ぜひ一度読んでいただきたい一冊です。
『109ひきのどうぶつマラソン』
のなかはるか 作・絵 ひさかたチャイルド
(川﨑里紗先生のレビュー)
ある日、109ひきの動物の元にマラソン大会開催のお手紙が届きます。地球を一周するマラソン大会。ジャングルの中や氷の上など様々な難関をくぐり抜け、ゴールを目指す動物たち。果たして一番になったのはどの動物なのでしょうか?また、各ページに「見つけてみよう!」という絵をじっくり見て楽しむこともできる絵本になっています。ぜひお手に取ってみてください。
『うみへ やまへ』
三浦太郎 作・絵 偕成社
(園長のレビュー)
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「ぼく」は家族と白い車に乗って、お父さんが生まれた海辺の町へ向け出発します。牧場を越え、田んぼの一本道を通り、街なかを過ぎて工場を横切り、大きな橋をわたったら・・・ 海だ!白い灯台は見えるかな? |
山あいの家から海辺の町へ向かう道中の風景を、色彩豊かな絵と日記のような語り口で描きます。そしてこの絵本には、もうひとり主人公がいます。本をうしろから開くと、海辺に住む「わたし」が赤い車に乗って、山の麓にある母方の祖父母の家へ訪ねるお話が始まります。前からと後ろから、ふたつのお話が楽しめる絵本です。
『おやつどろぼう』
阿部 結 作 福音館書店
(高橋友佳先生のレビュー)
その夜、アカーキーはは見てしまった・・・! 夜中にお母さんが一人お菓子パーティーをしているところを! そして再びベットにつくと、不思議な光景を目にする・・。お母さんが食べようとしていたショートケーキを泥棒しようとしている“しましま”を。そのしましまの正体は“おやつどろぼう”。アカーキーは気付けばしましまが住むおかしで溢れた世界に紛れ込み、お母さんのショートケーキを取り返そうと奮闘します。誰もが憧れる色鮮やかなお菓子の世界に心をときめかせながら、1ページ1ページ、ドキドキワクワク楽しみながら読める一冊となっております。ぜひお手に取って見てください。
『うっかりくまさんたちのおかしなおんがくかい』
へんみあやか 作・絵 Gakken
(湯浅美咲先生のレビュー)
きょうはおんがくかい。くまおさんの楽器はトランペット。さてくまおさんが持っていたものは・・・?なんとネコ!!それにびっくりしたくまたろうさん。そんなくまたろうさんもバイオリンと間違えてさつまいもを持ってきてしまいました。他のくまさんたちもうっかりさんだらけ! いったいこの音楽会はどうなってしまうの!?
かわいらしいくまさんたちの少しおかしな音楽会。楽器の代わりになった物たちの予想外な音にクスッと笑ってしまいます。ぜひお手に取って見てみてください。
『うちゅうじんはいない』
ジョン・エイジ― 作・絵 久保陽子 訳 フレーベル館
(佐藤愛先生のレビュー)
“ぼく”は宇宙人探しにある星へやって来ましたが、なかなか見つけられません。“ぼく”には見えなくても読んでいる皆さんには見つけられるかも・・・?物を探している時、じつは目の前にあるのになかなか見つけられない現象とよく似ている気がするようなお話です。ぜひお手に取って読んでみてください。
『じゅんばん じゅんばん じゅんばんですよ』
accototo ふくだとしお+あきこ 大日本図書
(園長のレビュー)
四季折々に移り変わっていく自然。森羅万象はそれぞれ独立して存在するように見えて、実はすべてが繋がっている。それらにはちゃんと順番があり、法則があり、季節はまるでバトンを手渡すようにリレーしていく、ということを、美しい絵とシンプルで詩的な言葉で紡ぐ絵本。
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さて、今回の先生方が選んだ絵本の紹介はいかがでしたか?
真人幼稚園の子ども達は本当に絵本が大好きです。元気いっぱい遊ぶときは遊び、思い切り体を動かす。一方で、集中して絵本を読んだり、何かを作ったり、友だちや先生の話に耳を傾けたり、そういったこともとても得意です。その静と動、集中と発散のバランスが子どもの成長にはとても重要なのだと思います。
そのような意味においても、心と体を鍛えるために絵本はとても大切なツールです。そしてなにより、お気に入りの特別な一冊があるということは、子ども達にとって何物にも代えがたい宝物であり、生涯にわたりその子どもを支えてくれる(時に本当に勇気づけてくれる)、大切な財産になるはずです。ぜひこれらのレビューをご参考になさって、図書館や本屋さんに親子で足をお運び頂き、お子さんと自分だけのお気に入りの一冊を探してみてはいかがでしょう。書棚の片隅で絵本たちは皆さんに発見されるのを待っています。
それでは皆様、良い年をお迎えください!!
