赤い金魚が泳いでいました。
名前はぷーぷく。
水槽の中でみんなと一緒に泳いでいます。
尾ひれと背ひれが大きくてゆらゆら。
息をするたびに、口からあぶくがぷくぷくと出るので
そんな名前がつきました。
ぷーぷくは金魚すくいの水槽で泳いでいます。
なにやら外はお祭りのようで、にぎやか。
水の中からもなんとなく外の様子が分かります。
赤や青や緑の浴衣姿の人たちが、いれかわり立ち代り
水槽の中を覗いています。
その中の一人、けんたくんは
お店のおじさんに言いました。
一回お願いします。
けんたくんはお母さんに100円をもらうとおじさんに渡しました。
おじさんはかわりに紙でできた小さなすくい網を渡しました。
けんたくんは何度も何度も水の中で金魚を追いかけているうちに
網が破けてしまいました。
あーあ、これでおしまい。
一匹も金魚はすくえませんでした。
悔しい気持ちでいっぱいのところに
おじさんがいいました。
ぼうや
なまえ なんていうんだい?
けんたか?
けんたくん、
おじさんからプレゼントだ。
一匹好きな金魚選びな。
袋に入れてあげるから。
え? いいんだよ。一所懸命がんばったんだから。
おじさんみてたんだよ。持ってきなー。
そうしてけんたくんはぷーぷくをお家に持って帰ることになりました。
それはそれは心配そうに、珍しそうに、袋の中の赤い金魚を
ちらちら見ながらおうちに帰りました。
お祭りは七夕の前夜祭。
縁日でもって帰った金魚は、
お父さんが用意した大きな水槽に移されました。
そこには砂利がしかれ、
水草も中でゆらゆら。
ぷーぷくは楽しくてたまりません。
けんたくんは1日に1回 学校から帰るとぷーぷくのところにやってきて
えさをあげることにしました。
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次の日けんたくんは笹の葉を持って帰ってきました。
カラフルな短冊もたくさんついて、
そうです、七夕の飾りです。
そこには、かけっこで一番になれますように。
勉強ができるようになりますように。おいしいご飯がたくさん食べられますように。
野球選手になれますように。
そんな短冊がたくさん。
ぷーぷくがけんたくんの方を見ていると
けんたくんは赤い折り紙を短冊にして、書きました。
ぷーぷくとずっとずっと友達でいられますように。
そのまま笹はベランダに飾られて、けんたくんは空を見上げました。
夜空に大きな打ち上げ花火が上がりました。
おしまい。