私、パナソニックにいた時はAIの研究をしていたのです。
その私が文学部の嫁にAIを理解させるという無謀とも言える挑戦をしてみました。
この入門を読んだ皆様にもご感想をいただけるとありがたいです!
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まず、AIがここまで注目を浴びたのは囲碁の世界チャンピオンにGoogleのAI、DeepMindのAlphaGoが勝利したから。
チェス、将棋に続き、最も複雑と言われた囲碁までもがコンピュータに負けました。
もう、人間はコンピュータに太刀打ちできないのでしょうか?
しかも、AIの開発者たちは口を揃えて、開発者の想定外の動作をしたと言います。
作った本人の能力を超え、想定外の行動をとる機械なんて怖いと思いません?
最近テレビでもAIが日本の行く末を占ったり、本当かよ!ってものが多いですね。
AIで職がなくなるとか、、AIの反乱で人類は滅ぶのとか、、色々言われています。
世界的に有名な科学者ホーキンス博士でさえAIを規制すべきだと言います。
でも、AIをよく知ればそんな心配は杞憂だったとわかるでしょう。
AlphaGoに用いられた技術はニューラルネットワークを多段にしたdeep learning というものです。
実はdeep learningの基本的な考えは30年近く前からありました。
私も学生時代にニューラルネットワークが進化するためには多段階にする必要があるとは気が付いていました。
でも、その当時のコンピューターの計算速度ではとても扱うことができません。
去年Googleが写真の中から猫を探し当てるdeep Learningを公開しましたが、当時のコンピュータで同じことをやろうとすると、、なんと30年たっても学習が終わってません!
そんな調子なので実用化は難しかったのです。
それが、コンピュータの性能向上に伴い、短時間に学習ができるようになりました。学習が早くなると試行錯誤もできるようになり高速化手法も開発され飛躍的に早くなってきたのです。
では、ニューラルネットワークとはどのようなものでしょうか?
簡単にいうとパターン認識装置です。入力がどのパターンに当たるかを出力する装置です。
例えば、下のような装置では、入力の数に応じて、A,B,Cが出力されます。入力のパターンによって出力が変わるのがパターン認識装置です。
パターン認識は、特徴の抽出や情報の圧縮とも言えます。この例ではABCそれぞれの入力の組み合わせは無視して、入力の個数のみに絞って判断をしています。
では、次にこれまでのニューラルネットワークとdeep learningの違いを説明します。
※ちょっと難しいので読み飛ばしてもOKです。
上のニュールラルネットワークでは入力の層と中間層、出力層が繋がっています。各要素の値が次の層のどの要素にどのくらい反映されるかを重みと言います。
この重みを調整すること(学習という)により、望みの出力を得ることができます。
deep learningの場合は、この中間層が複数階層(deep というくらいなので沢山、多いと千以上)あります。
中間層が多いと層毎に徐々に特徴の抽出がおこなれるようになります。例えば人の顔を認識する場合、物体の位置→物体の大きさ→顔→顔の特徴→人物と徐々に判別が進むのです。
これを一層で顔の判別までしようとすると同じ人物でも色々な位置や大きさの画像を全て学習させる必要があり効率が悪いのです。
この顔の位置や大きさが適当でもいいよ!というのがdeep learningの魅力なのです。
でも、これって人間だと当たり前ですよね?
なんだかんだ言ってもdeep lerningは魔法の箱でも感情や意識を持った機械でもなく、入力データのパターンから出力を決めるだけの装置です。
では、AIが仕事を奪うことはあるのでしょうか?
アメリカでは弁護士の代わりに事件から判例を探す仕事をしているそうです。
でも、コンピュータに記録された膨大な数の判例から類似の事件を探すなんて、、、そもそも人間的な仕事とは言えません。。そんな仕事はAIに任せた方がいいですよ。
では、AIが人間に反旗を翻し攻撃してくることがあるのか?
もしあるとしても、、こんな感じに人間が意図的にAIの出力を武器に繋げる必要があります。
どうでしょう? 心配するべきは人間であって、AIではありません。
AIは役に立つものですし、今後、ますます使われてくるでしょう。
ただ、過剰な心配や期待は禁物です。
所詮は、パターンを認識するだけの機械です。その特性をよく理解して、AIが何に使えるか、どのように人々の役に立つのか、一緒に考えていきましょう。
第2回に続きます。
※このブログでは簡略化のため AI = deep learningのように話をしていますが、他にも沢山のAIがあります。次回以降でご紹介できればと思います。