前回の記事に続いて、「ウォーハンマーファンタジーバトル8版」の戦術考察記事です。
今回の記事では、「正面決戦」における配置順序と、兵科(ユニット種別)の役割や相性などについて、
私がこれまでのゲーム経験から得た知識をご紹介します。
シンジのmy Pick
1.ウォーハンマーにおける、配置と陣形の重要性
ウォーハンマーというゲームは、将棋と似ている点がいくつかあります。
・陣形の組み方が重要 → 将棋ならば、「囲い」に相当します。
・ユニット別に得意、不得意があるので、味方同士の連携によって弱点をフォローしたり、お互いの強みを引き出したりできる。
→ 将棋では、「棒銀」(飛車と銀の連携)や、「2段ロケット」(香車と飛車の連携)など、駒同士の連携が有効な戦術ですね。
そして、ウォーハンマーにおいては、「初期配置をプレイヤーがある程度自由に決められる」というルールがあります。
私が使っているハイエルフ・アーミーは、機動力の高いユニットが多いので、初期配置と陣形を特に重要視しています。
(ゲームを始めたばかりの頃、敵軍に向かって正面から突撃しても、力負けするケースが多かったので)
●配置の優先順序
軽騎兵・ウォービースト > 飛行ユニット> 射撃歩兵・ウォーマシン > モンスター > チャリオット > モンスター・インファントリー > 歩兵 > 重騎兵
各兵科の役割などは後述しますが、配置と陣形で特に重要な点が、「遊兵」です。
遊兵
読み方:ゆうへい
戦において、頭数には含まれているものの、配置の関係などから戦闘員として機能していない兵のこと。
将棋を遊んだ事がある人ならばわかると思いますが、「最初から最後まで一度も動かす機会のなかった歩や香車」が、「遊兵」に相当します。
将棋の場合、初期配置が固定されているので、端の駒が「遊兵」になってしまう事は仕方ないと言えますが、
ウォーハンマーの場合は、「プレイヤーに配置の自由度が与えられている」ので、
初期配置に注意すれば、「遊兵」の割合を少なくできます。
また、敵軍に「遊兵」の割合が多ければ、自軍がかなり有利になります。
以上を踏まえて、各兵科の特徴や役割などを解説してきます!
1.軽騎兵・ウォービースト
→ ファストキャバルリーと、ウォービースト
移動力は8~9.
ファストキャバルリーは、前衛部隊・自由な隊列再編・行進移動後の射撃が可能。
射撃可能な場合が多いが、接近戦専門・魔法が使える軽騎兵もいる。
重騎兵に比べると、コストは安い。
ウォービーストは移動力が高く、「疾駆け」を持つ。「前衛部隊」を持っている事もある。
戦闘能力は低いが、ポイントが安い。
〇配置
・主力部隊と距離が離れても問題ないユニットなので、真っ先に配置して良い。
また、「前衛部隊」のルールを持っていれば、前衛移動で位置が修正できるので、配置のミスをカバーしやすい。
・前衛部隊のルールを利用したテクニックとして、「謎の地形チェック」が便利。
→ 自軍の初期配置エリアに森・川・沼などがあったら、前衛部隊を配置する。
「謎の地形」は配置した直後に効果が決まるので、
自軍の有利な地形であれば、他のユニットが利用できる。(毒の茂み、暗き森など)
配置が終わった後、前衛移動で地形から離脱すれば、危険地形判定の必要もない。
(前衛移動は、通常移動として処理されるため)
〇移動
・高い機動力を生かして、捨て駒・囮・ウォーマシン狩りなどの任務をこなす。
・敵の射撃とスペルには弱いので、敵の射撃歩兵の視界には注意が必要。
〇相性
重騎兵 × 軽騎兵 △ 歩兵 △ 散兵 △ チャリオット × モンスター ×
一部の特殊なユニットを除くと、接近戦での戦闘力は低い。
また、射撃もウォーマシンや射撃歩兵ほどの威力はないので、あくまでおまけ程度。
敵のウォーマシンを狩るには最適。
また、敵の主力部隊が戦場の重要な場所へ移動できないように、進路妨害をすると効果的。
2.飛行ユニット
飛行移動が可能なユニット。
前衛移動はできないが、移動フェイズでの自由度が高いので、配置のミスが致命的になりにくい。
接近戦での能力はユニットによってバラバラなので、役割も異なる。
〇配置
移動不可能な地形や、危険な地形を飛び越えられるので、それらの後ろに配置するとよい。
接近戦に強いモンスターなどは、自軍の主力部隊との連携を意識する。
戦闘能力の低い飛行ユニットは、軽騎兵と同じ役割と考えてよい。
〇相性
重騎兵 × 軽騎兵 △ 歩兵 △ 散兵 △ チャリオット △ モンスター △
モンスター並の飛行ユニットは、自軍の歩兵や重騎兵と連携して突撃。
戦闘能力の低い飛行ユニットは、軽騎兵と同じような任務。
3.射撃歩兵
→ ウォーマシン以外の射撃武器を装備した歩兵。
・接近戦能力は、同じアーミーの最低水準。
・射撃に参加可能な兵は基本2列までなので、横に広い隊列を組む。
・接近戦で無防備なウィザード(徒歩)の合流先としても便利。
〇配置
他の兵科ほど前に出る必要はないので、標的との最大射程ギリギリに配置する。
また、横に広い隊列を組むユニットなので、他のユニットの邪魔にならないように気を付ける。
自軍に複数の射撃ユニットがいる時は、火力を1点に集中できると良い。
(このゲームの射撃は全体的に威力が低いので、複数のターゲットをバラバラに攻撃しても効果が薄いため)
また、クロスボウやハンドガンなど、移動後に射撃ができないユニットは注意。
射撃で攻撃したい相手が視界の外にいる時は、全く無力となってしまうため。
(特に、ファストキャバルリーと相性が悪い)
〇移動
行進移動をすると射撃ができないので、移動は微調整程度と考える。
(視界の外にいる敵を攻撃したい時は、「素早い隊列再編」でユニットの向きを変える)
ゲーム中盤以降、射撃の役割が終わったら、接近戦に参加してもよい。
(もちろん、敵ユニットの能力値や相性も考える必要はある)
〇相性
重騎兵 × 軽騎兵 〇 歩兵 △ 散兵 △ チャリオット △ モンスター ×
→ 基本的に、ASや耐久の高い敵は苦手。(ウォーマシンほどの火力はないので)
歩兵の隊列を削るか、軽騎兵を倒すのに向いている。
4.ウォーマシン
・射程と火力に優れた射撃ユニット。
・1基のポイントが比較的安い。
・一応、接近戦もこなせる射撃兵と違い、接近戦ではほとんど無力。
・横幅が小さいので、配置で邪魔になりにくい。
〇配置
基本的に武器の射程は長いので、可能な限り後方へ配置する。
複数のウォーマシンがいても、全て一斉に配置しなければいけないのが注意点。
(キャノン、ストーンスロワー、ボルトスロワー、ファイアスロワー等、
ウォーマシンの種類によって、有効な敵も異なる)
配置する場所は、敵の編制によって変わってくる。
1.味方から大きく離れた位置で、囮を兼ねる。(敵に軽騎兵・飛行ユニット・散兵がいない時)
2.味方の射撃兵と連携可能な位置に配置する。
(敵に軽騎兵・飛行ユニット・散兵がいる時は、護衛部隊が必要)
射撃のチャンスを増やしたいならば、敵の主力が配置された後に配置する。
配置フェイズで敵の主力をけん制したいならば、先に配置してしまう。
(どちらにせよ、自軍のユニットが射線上にいない事が前提)
〇相性
重騎兵 〇 軽騎兵 × 歩兵 × 散兵 × チャリオット 〇 モンスター 〇
→ 命中すれば、他の兵科が苦手とするユニットに大ダメージを与えられる。
特にキャノンは、耐久力の高いモンスターを一撃で倒す事も可能。
5.モンスター
→ 攻撃・耐久に優れた大型の単独ユニット。
・移動力はモンスターによってばらつきがあるが、全体的に歩兵よりも速い。(6mv程度が多いが、飛行可能ならば10mv+「疾駆け」)
また、単独ユニットなので、移動フェイズでの自由度も高い。
・攻撃回数は歩兵や重騎兵に劣るが、踏み荒らし攻撃が利く相手には強い。
(歩兵、ウォービースト、スウォーム)
・基本的にモンスターは「恐慌」のルールを持っているので、
士気の低い敵ユニットに対して特に効果的。
・重騎兵と単独で戦うのは苦手。
(踏み荒らし攻撃が使えず、攻撃もASで防がれやすい)
〇配置
・役割はチャリオットに近いが、行進移動ができるのが強み。
・キャノンやストーンスロワーはモンスターの天敵なので、敵の射線には注意。
・敵の重騎と単独で戦うと、戦闘結果で負ける事もあるので、敵の配置や味方ユニットとの連携に注意しよう。
〇移動
・飛行可能なモンスターであれば、味方の重騎兵と連携して敵の側面から攻撃する。
・6mv程度の移動力であれば、チャリオットと同じく歩兵の支援に回る。
6.チャリオット
→ 「インパクトヒット」を持ち、突撃時の破壊力に優れた戦車。
※ボルトスロワー等を装備したチャリオットは、「移動可能なウォーマシン」として活躍する。
単独のチャリオットは移動の小回りが利き、
2~3台編成のチャリオットは耐久力と攻撃回数が増える。
モンスターと同じく、隊列ボーナスや軍旗ボーナスがないユニットなので、
味方の歩兵と連携しないと、戦闘結果で負けてしまう。
〇配置
・行進移動ができないため、自軍の重騎兵やモンスターなどの近くに配置すると、移動フェイズで出遅れる。
・建物に対しては突撃も占領もできないので、進路上に建物がある場所は避ける。
・歩兵の横に配置するのがベスト。ただし、危険地形には注意。
・自分から突撃できないと不利なユニットなので、対面にいる敵の移動力には注意。
〇移動
・歩兵の行進移動に合わせながら、敵との距離を詰める。
・歩兵の火力を底上げする役割なので、前に出すぎても出遅れてもいけない。
7.モンスター・インファントリー
→ モンスターよりも一回り小さいが、隊列を組めるユニット。
・移動力は6mv前後で、行進移動も可能。
「速駆け」を持たないので、突撃可能な距離はチャリオットや騎兵に劣る。
・2列目の支援攻撃も含めると、攻撃回数が多いのが強み。
攻撃力も、歩兵に比べると高め。
また、最前列の兵は「踏みつけ攻撃」を使える。
・「恐怖」のルールを持っている事が多いので、
士気の低い敵ユニットに対して特に効果的。
〇配置
・役割はチャリオットに近いが、行進移動ができるのが強み。
・敵の編制や配置次第だが、歩兵よりも高い移動力を生かせば、敵歩兵の側面から攻撃する事も可能。
これを狙う場合は、味方の主力歩兵が正面から突撃する。
〇移動
・オウガキングダムのような例外もあるが、自軍の歩兵や重騎兵との連携が大切。
・自軍の歩兵や重騎兵と同時に突撃したり、接近戦中の敵に側面から突撃するなど。
8.歩兵
→ 接近戦用の装備を持った隊列歩兵
・最も基本的な兵科。装備次第で、性能は大きく変わる。
・隊列ボーナスや「ゆるぎなし」を重視する場合は、横5人で、敵よりも多い隊列を保つ。
(防御重視の陣形。ハンドウェポン・シールド装備と相性が良い)
・攻撃回数を上げる時は、横列を広げて7~10列にする。
横10列にすると、「大部隊」のルールで支援攻撃が1列増える。
ポイントの安い歩兵ならば、編成の段階でこれを狙うとよい。
(攻撃重視の陣形。スピアや2回以上攻撃可能な兵と相性が良い)
・防御力が低いと、敵の射撃によって兵力を削られやすいので、予備兵力やパニック対策は必須。
→ 士気の低いユニットは、味方のジェネラルやアーミースタンダードの範囲内に配置する。
〇配置
自軍の編成にもよるが、接近戦の主力となる兵科。
また、他の兵科よりも移動力が低く、初期配置を間違えると「遊兵」になりやすいので、なるべく後出しで配置する。
危険地形には比較的強いので、障害物や建物と同じ軸に配置して良い。
騎兵やモンスター等に比べると足が遅いので、
他ユニットの移動を妨げたり、出遅れたりしないように注意。
また、歩兵の人数が多すぎると、自軍のユニットとの連携がうまくいかないケースもあるので、注意。
〇移動
自軍が射撃重視の編制でなければ、序盤は行進移動で前に出る。
騎兵やチャリオットに比べると、自分から突撃する事にこだわらなくても良い。
(スピアの場合は、むしろ不利になる)
〇相性
重騎兵 〇 軽騎兵 × 歩兵 △ 散兵 × チャリオット △ モンスター ×
接近戦で多少のダメージを受けても、「ゆるぎなし」が発動すれば全滅しにくい。
兵科間の相性は、装備によってかなり変わってくる。
(グレイトウェポン装備の歩兵は、ASの高い重騎兵に有利など)
編制の段階で敵のアーミーが分かっているならば、敵のアーミーに有利な装備の歩兵を投入するとよい。
9.重騎兵
→ 接近戦用の重装騎兵。(キャバルリーとモンスター・キャバルリーの役割はほぼ同じ)
・移動力は7~9.行進移動も可能。敵の側面へ回り込んだり、戦力の薄い地点を突破しやすい。
・歩兵よりもASが高く、防御力が高い。
・1体のコストが高い。(同じアーミーの歩兵の2倍以上)
そのため、隊列ボーナスは期待しにくい。
・AS不可の攻撃に弱い。
・危険地形に弱い。
・スピアやランスは、突撃時以外に使えないため、2ターン以上の接近戦は苦手。
〇配置
移動力自体は歩兵よりも高いのだが、以下の理由で配置の自由度が制限される。
・危険地形に弱いので、森・沼・川の近くに配置しづらい。
(ただし、「ストライダー」のルールを持っているならば、逆に有利となる)
・建物を占領できず、建物に対して突撃すると、騎兵の優位が失われるので、
建物も避けた方がよい。
・敵の歩兵に正面から突撃すると、「ゆるぎなし」で耐えきられる可能性が高い。
→ 次のターンに敵軍から側面突撃を受けると、敗走する可能性も出てくる。
上記の理由から、「危険な地形・建物が少なく、敵の側面や背面に回り込める位置」がベスト。
〇移動
進路上に危険な地形がなければ、行進移動で敵の側面・背面を狙う。
敵と味方の重騎兵同士が正面から睨みあった場合は、突撃した方が有利。
(スピア・ランスの攻撃力ボーナスがつくので)
お互いに突撃可能な距離とタイミングを見計らって、「自軍に有利なタイミング」で突撃する。
敵の歩兵と戦う場合は、「揺るぎなし!」への対策が必要。
もし、自軍に軽騎兵や飛行ユニットがいない時は、ウォーマシン対策をする事もある。
〇相性
重騎兵 △ 軽騎兵 △ 歩兵 △ 散兵 〇 チャリオット 〇 モンスター △ ウォーマシン △
ASが高いユニットなので、突撃する相手を間違えなければ、接近戦のダメージはかなり少なくなる。
また、歩兵と違って踏みつけ・踏み荒らし攻撃を受けないユニットでもある。
そのため、モンスター・インファントリー等と戦いやすい。
10.キャラクター
ジェネラル、アーミースタンダードベアラー、ウィザードなど。
基本的に、同じ兵科のユニットへ合流した方が良い。
(敵の射撃やスペルに強い、味方ユニットの火力を底上げできる)
飛行可能なキャラクターは、単独で配置してもよい。
(敵の射撃には注意が必要なので、敵軍の射撃ユニットの射程・視界には気を付ける)
11.斥候部隊
キャラクターの後に配置される特殊なユニット。
「敵ユニットの12mv以内でなければ、戦場の好きな場所に配置できる」のが最大の強み。
「スカーミッシャー」を持っている場合が多い。
接近戦は苦手だが、「行進移動後に射撃可能」・「自由な隊列再編」を持つ。
〇配置
使い方はいくつかあるので、例を挙げてみる。
1.沼地・森・建物などに配置して、射撃で敵を妨害する。
2.敵の主力部隊の進路上に配置して、移動を妨害する。
3.敵の射撃歩兵やウォーマシンの射線上に配置して、敵の射撃から味方を守る。
4.敵アーミーの側面や背面に配置して、行進移動を妨害する。
接近戦で戦果を上げられる兵科ではないので、役割は軽騎兵・ウォービーストに近い。
自軍に軽騎兵・ウォービースト・飛行ユニットがいない時は、敵のウォーマシン狩りを任務とする。