こちらでは、明日から「Instructional League (教育リーグ)」が始まります。
リーグと名前が付くので、試合を行なうリーグ戦のようなイメージがありますが、日本のプロ野球で言うと「秋のキャンプ」ですね。

それぞれのカテゴリーの公式戦も終わり、本格的なオフシーズンに入る前のこの時期に3週間ほど、若い選手(まだ実力が不十分な選手)はそれぞれの目的の元、トレーニングや技術練習、時には練習試合などを行なっていきます。

それも、やみくもに練習していくのではなく、それぞれの選手に応じた課題に対して徹底的に取り組むということです。

コントロールの向上、スピードアップ、フォーム修正(固め)、新たな変化球の習得、筋力アップなど、それぞれの選手に応じた様々な目的があります。

僕も日本ではこの時期に、秋のキャンプの是非が問われるコメントなどをよく耳にしたことがありますが、アメリカでもこのシーズン後の選手のパフォーマンスがまだ高い状態の時期を重要視して、選手の能力を上げることを考えています。

日本は時期が少し遅かったり、目的意識が明確でないというところは再考の余地があるかもしれませんが、秋のキャンプは若い選手にとっては重要だということは、日本でもアメリカでも同じです。

また僕がこちらで一番感銘を受けたのが、選手だけでなく、コーチの成長を促す期間でもあるということです。
このリーグでは若いコーチもそれぞれのカテゴリーから集まりますから、それぞれが意見、アイデアを出し合い、そして高め合う。
コーチそれぞれにプレゼン(テーマは自由)の機会も与えられていますから。

本当に選手にとってもコーチにとってもスキルを上げられる重要な期間ということですね。

それと、日本と大きく違う点に気がつきました。
このリーグでは、期待されている選手の集まりで、みんなが参加できる訳ではないのです。
期待値の低い選手は、このリーグに参加することなく、ひと足早くオフシーズンに入ります。

早くオフシーズンに入れてラッキー!なんて思う選手はいません。なぜなら、オフが空けて春のキャンプで「見込みがない」と判断された選手はその時点でクビになりますから。
常に"生存競争"の状態ですから、怠けているヒマはないのです。しかも期待値が低いことが分かってしまうので、危機感も増しますからね。

またもう少し俯瞰して見てみると、日本は「出来ない選手に合わせた環境」であり、アメリカは「出来る選手をどんどん伸ばしていく環境」であると言えます。

日本は「全体の底上げ」で、アメリカは「ふるいにかける」というイメージですね。
これはどちらが正しいということではないと思います。
そもそものシステムや文化が違い過ぎますから。

ここで僕が一番言いたいことは、秋のキャンプが必要であるのかそうでないのかは、当事者ではない周りが安易に判断することではないということです。
そして一つ確実に言えることとすれば、「何となく練習しなければいけないからする、させなくてはいけないからさせる」ではほとんど意味がないということ。
やる方もやらせる方(言い方は悪いけど)も、次のシーズンへ向けたしっかりとした計画と目的意識を持ってやることが必要だということですね。

「この時期に思い切った取り組みができる選手」
「沢山のことを学べる機会があるコーチ」

僕はこの時期が楽しくてしょうがないのです。。😊